11/13の同時多発テロ後の非常事態下で行われた第1回投票で、テロリストを内包すると思しき流入難民に不安を覚えたフランス国民が、社会党(SP)支持から国民戦線にどっと流れた結果、
一般市民から寛容さを奪うのは「被害者意識」 ~ フランス地域圏選挙で国民戦線(FN)が歴史的大躍進(2015/12/7)
ここで、素直に社会党支持に戻らないのが、被害者意識に凝り固まった挙句、現実を直視しない人間たち。1週間前のエントリーでも書いたけど、
今回の結果は、フランス国民がFNを支持した結果では無い。自分たちを景気の低迷から、テロリスト入りの難民たちの脅威から守らなかった社会党(SP)を支持しなかった結果だ。
13日の決選投票では、社会党と共和党が手を結び、FNの第一党を阻止するだろう。しかし、それでFNに流れる「与党不支持票」自体を減らすことは出来ない。
1週間前に社会党を見限って国民戦線に票を投じた人間が、今回共和党に票を投じたのは、社会党と共和党の談合の結果だけではない。
「1週間前の自分の過ちを、素直に認めたくないだけでしょ」
今の共和党とサルコジに中途半端なカンフル剤打ったって、延命処置にすらならないのにね。今回の地域圏選の結果は、フランス国内に安定は齎さない。社会党と共和党、国民戦線の三つ巴による内政の混乱に拍車をかけるだけだ。賭けてもいい。2017年の大統領選まで社会党と共和党の共闘関係が続くわけが無い。1週間前の言葉をもう一度言おう。
社会党なり共和党なりが下手を打ち、フランス国民が再びテロに晒されれば、FNはいとも容易くNSDAPに脱皮するだろう。
さて、どうなるか。
【パリ賀有勇】13日に行われたフランスの州(地域圏)議会選第2回投票で、極右政党・国民戦線(FN)は本土全13州すべてで第1党の座を逃した。FNが勝利する可能性のあった2州で出馬を取りやめた国政与党・社会党の戦略が奏功した形だが、一方でFNは仏政界で無視できない存在になっていることを誇示したといえる。
内務省の集計によると、得票率は▽サルコジ前大統領の共和党を中心とする右派連合40%▽オランド大統領率いる社会党を中心とする左派連合29%▽FN27%--だった。地域政党が勝ったコルシカ島を除く本土12州のうち、右派連合が7州、左派連合が5州で第1党となった。第1党が首長にあたる議長を出す。投票率は58%で、第1回投票より約9ポイント高かった。
選挙は比例代表制。「反移民」を掲げるFNは第1回投票で、13州のうち6州で得票率首位となった。どの州も過半数得票の政党はなかったため、得票率10%以上の政党が第2回投票に進んだ。
FNは第2回投票で、マリーヌ・ルペン党首(47)が出馬した北部の州で42%、めいのマリオン・マレシャルルペン氏(26)が出馬した南東部の州で45%を得票したが、それぞれの州で58%と55%を得票した右派連合に敗れた。
第1回投票ではFNが両州で41%を得票し首位だった。勝算なしとみた左派連合は両州で第2回投票への出馬を取りやめ、FNを勝たせないため右派連合支持に回っていた。
社会党は2002年大統領選で、ルペン党首の父ジャンマリ・ルペン氏が保守政党「共和国連合」のシラク大統領(当時)との決選投票に臨んだ時もシラク氏を支援して大勝に導いたことがある。
左派連合は今回、右派連合が選挙協力を拒否したにもかかわらず、一方的に右派連合支援に回った。
パリ政治学院のパスカル・ペリノー教授は「選挙協力の目的は、FNの勝利阻止だけではない。17年の次期大統領選で再選を狙うオランド氏とルペン氏が決選投票に進んだ場合に、(オランド氏が)共和党から支援を得るための布石でもある」という見解を示した。
一方、パリ同時多発テロを受けて国民の不安が高まったことも背景に、「治安強化」を訴えたFNは得票率を前回(10年)の3倍に伸ばした。結果を受けて「極右の(伸長という)危機はなくなっていない」と話したバルス首相(社会党)とは対照的に、FNのルペン党首は「勝利のような敗北だ。我々を阻むものは何もない」と自信に満ちた表情で笑顔を見せた。
11年にFNの党首となったルペン氏は、人種差別的な発言を繰り返した父ジャンマリ氏とは一線を画すソフト路線を展開。移民制限以外にも、低所得者層向けの経済・福祉対策を掲げたほか、人工妊娠中絶にも理解を示すなどして、国民の間に残るFNへの抵抗感を取り除こうとしている。
(12月14日 毎日新聞)
コメントを残す