イスラム教徒を焼き殺すISISに大義無しな件について

後藤健二氏がイスラム国に処刑された可能性がある件について(2015/2/1)

 ISISがこのタイミングで後藤健二氏を処刑したのは、ヨルダンの突き付けた条件が引き金になったと考える。交渉をこれ以上長引かせる方が、「ヨルダン軍パイロットを処刑済みな」自分たちにとって不利になると判断したのだろう。交渉自体を手仕舞いすることで、自分たちにとって不利な事実を隠す方を選んだのだろう。要は「やる気を失った」のだ。

 モアズ・カサスベ中尉が既に殺されていたことは想定の範囲内。中尉の処刑を公表したことは少々意外だが、一連の交渉終了をISISサイド主導で表明する演出の一環と思えば、理解できないことは無い。真相を隠し通し、不確実性を武器にするのとは違い、単純で粗野なやり方ではあるが、アブドラ国王の訪米に合わせて自らの危険性をアピールする、情報戦の一環と思えば理解できる。

 しかし、

オレンジ色の服を着せられたムアーズさんが銃を持った覆面姿の男たちに囲まれ、その後、火を放たれて殺害される様子が映っています。

 これは最悪だ。生きたまま焼き殺した事も最悪だが、イスラム教徒である彼を焼き殺した事が最悪の極致だ。イスラム教徒にとっての火葬とは、審判の日の復活を許さず、地獄行きを強制する行為。ISISの連中はそれを百も承知で、中尉を焼き殺した。同じアラーを信ずる者に対して、このような蛮行をやらかすISISこそ、イスラム教徒の敵だと心の底から断言できる。

 安倍政権や公安憎しで一連の人質事件を政治的に活用したい輩は、好きにすればいい。イスラム教徒やジャーナリストとしての立場を利用して国内を引っ掻き回したい奴も、好きにすればいい。その手のノイズには、世論も私も既に慣れたし、飽きた。しかし、ISISがイスラム教徒を焼き殺したことだけは、絶対に肯定するな。それは、中尉の遺族やヨルダン国民にとどまらず、世界の全てのイスラム教徒を侮辱する行為だ。

ヨルダン軍パイロット殺害か 映像が投稿

 イスラム過激派組織「イスラム国」に拘束されていたヨルダン軍のパイロットが殺害されたとみられる映像がインターネット上に投稿されました。ヨルダンのアブドラ国王は、パイロットが殺害されたことを確認するとともに、「われわれは遺族と共にいる」と述べて、国民に連帯を呼びかけました。

 日本時間4日午前2時前、イスラム過激派組織「イスラム国」に拘束されていたヨルダン軍の戦闘機のパイロット、ムアーズ・カサースベさんが殺害されたとみられる映像がインターネット上に投稿されました。映像には、オレンジ色の服を着せられたムアーズさんが銃を持った覆面姿の男たちに囲まれ、その後、火を放たれて殺害される様子が映っています。

 これを受けて、ヨルダンの国営テレビが速報でこの映像について伝えるとともに、アブドラ国王の緊急声明を放送し、国王は「大切なパイロットがひきょうなテロリストの手にかかり殺害された」と述べ、ムアーズさんが1か月前の先月3日に殺害されたことを確認しました。そのうえで、アブドラ国王は「われわれは遺族と共にいる」として、国民に連帯を呼びかけました。

 これに先立って、ヨルダン政府も「『イスラム国』は残虐な殺人者であり、徹底して報復する」とする声明を出しました。

 ムアーズさんは去年12月、アメリカ軍が主導するシリア北部での空爆作戦に参加中に乗っていた戦闘機が墜落し、「イスラム国」に拘束されました。「イスラム国」が後藤健二さんの解放と引き換えにヨルダンで収監されているイラク人の女の死刑囚の釈放を求めてきた際、ヨルダン政府は併せてムアーズさんも解放するよう求めていました。

 ヨルダン政府は、ムアーズさんが生存している証拠が示されれば死刑囚を釈放する用意があるとしていましたが、「イスラム国」側はそうした証拠を示さないまま、後藤さんを殺害したとする映像を公開しました。ヨルダンの国民の間では、ムアーズさんの安否を心配する声が高まり、連日、救出を求める集会やデモが行われていました。

「そもそも交渉の意図なし」

 中東情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所の保坂修司研究理事は「イスラム国側は、そもそもヨルダン政府と交渉するつもりはなく、自分たちの力を見せつけようという意図があったのではないか」と分析しています。そのうえで、投稿された映像で火を使っていることについて、保坂さんは「イスラム教の教えで殺害に火を使うことは、神以外が行ってはならない最も残虐な刑罰とされ、世界中のイスラム教徒から非難されかねない行為だ。イスラム国は支配地域が減少し、求心力を高めるために焦っているのではないか」と指摘しています。

(2月4日 NHK)

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