短所その1、調整能力の欠如。トランプ大統領とその側近は、「アメリカン・ヘルス・ケア・アクト(AHCA)」支持の下院自由議員連盟と不支持のチューズデー・グループという共和党内の対立グループだけでなく、側近内の意見違いすら手打ちに持っていけなかった。
短所その2、強引すぎる交渉姿勢。AHCAへの反対派議員を恫喝し、それでも票と時間が足りないとなれば、議会審議をすっ飛ばす財政調整法規定の抜け道を使って採決に持っていこうとして、議会全体の反感を買った。
短所その3、法案立案能力の拙劣さ。「オバマケアより優れている」という触れ込みで発表されたAHCAは、オバマケアより低所得な無保険者を1000万人単位で増やしてしまうだけでなく、中産階級以上の富裕層には補助が厚くなるというトンデモなものだった。そりゃ、トランプ支持派な共和党員でも反対するわ。
イスラム圏からの入国を禁止する大統領令一つ採ってもそうだが、このような生煮えで不出来なアイデアを臆面もなく提出してくるトランプ大統領には、「利害調整」「対外交渉」「政策立案」それぞれについて、まともなブレインがついていないとしか思えない。要は、
「トランプに人無し、ですね」
この上、ドナルド・トランプが今回の不手際の尻ぬぐいをポール・ライアン下院議長にさせて、更に彼に詰め腹を切らせたりしたら、この先の「議会協力」もおぼつかなない。さて、当代の米大統領様はどこまで「愚か」か。就任100日間を待たずして結果が出そうだな。
アメリカのトランプ大統領は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを撤廃し、別の制度に変える代替案について議会下院で否決される可能性が高いとして採決直前に取り下げました。次の政策課題として上げる税制改革をめぐっても、焦点の法人税の見直しなどで、与党・共和党内で意見が分かれていて、厳しい政権運営を迫られそうです。
トランプ大統領は24日、議会下院の本会議でオバマケアを撤廃し、別の制度に変える代替案の採決を予定していましたが、野党・民主党に加え、共和党内の保守強硬派の議員らも反対し、否決される可能性が高いとして、共和党のライアン下院議長と取り下げることで合意しました。
アメリカのメディアは、トランプ大統領にとって大きな敗北になったと伝えています。
一方、トランプ大統領は、記者団に対して、今後も医療保険制度の改革を目指す考えを示したうえで、次の政策課題として「大規模な減税を含む税制改革に力強く取り組む」と述べました。
ただ、税制改革をめぐって焦点となっている輸出の際の税負担を軽くする一方、輸入の際の負担を重くする法人税の仕組みを見直す案については、共和党内でも意見が分かれています。
今回の事態で共和党内にもトランプ大統領に従わない議員がいることが浮き彫りになり、支持者の期待が大きい税制改革やインフラ投資の実現も不透明な状況になっていて、トランプ大統領は厳しい政権運営を迫られそうです。
(3月25日 NHK)
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