【成功すれば俺の手柄】老練なるネタニヤフ曰く「欧州各国はエルサレムをイスラエルの首都と認めよ」「ただし、俺の要求に従うのではなくトランプ米政権に追随する形で」【失敗したらトランプの責任】

 相変わらず、老練というか小狡いねえ。イスラム国戦争とムスリムテロのトラウマ持ちの欧州各国が呑めるわけのない「エルサレムをイスラエル首都として承認せよ」という要求を、イスラエルの首相閣下は「米国に追随しろ」という論調で彼らに叩きつけた。

 ネタニヤフからすれば、「エルサレムを首都とするメリットのある」イスラエルの首相としての義務は果たした。「エルサレムをイスラエル首都として国際社会に認めさせる」ことは実現不可能な課題であることを承知で、本件に関して米国を支持したという事実だけは残した。

 もちろん、エルサレムが現在の国際情勢においてイスラエルの首都として認められることはない。今の緊張状態を生んだのは「トランプの責任」だ。しかし、仮に情勢が変化して欧州その他の第三国が対米外交の一環でエルサレムをイスラエルの首都として認める見解を示した場合、今日このタイミングで「欧州は米国に追随せよ」という言質を残したことによって、その歴史は「ネタニヤフの手柄」になる。

 本件を巡る一連の過程においてイスラエルが受動的である限り、ネタニヤフ個人は外交的リスクをほとんど冒さない。本件の火種を撒いたのは米国であり、その責任者はトランプだからだ。その一方で、上記のような変化が生じれば、彼は「イスラエルの英雄」になる。自分の手を汚すことなく、彼は歴代首相の中で首座の名声を手に入れることになる。

f:id:kagura-may:20171209171556j:image:h300

 方や、エルサレム問題の責任だけを背負わされる形になっているトランプ米大統領。昨日のニューヨーク爆弾テロを受け、移民をこれまで以上に敵視する姿勢をあらわにし、期待通り、更なるヘイトを世界中から集めている。なんとも救いようのないこの短絡的言動ファーストな大統領、今のネタニヤフの目には、さぞや操りやすいメタボ人形として映っていることだろう。

 こんな調子で、世界は無事に2018年を迎えることができるのだろうか。マジで心配だ。

イスラエル首相、欧州各国もトランプ米政権に「追随を」

 (CNN) 米国のトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めて大使館を現在のテルアビブからエルサレムへと移転する方針を明らかにしたことについて、イスラエルのネタニヤフ首相は11日、トランプ大統領を擁護し、欧州各国もこの判断に追随すると信じていると語った。外相らとの会談のために訪れているベルギー首都ブリュッセルで述べた。

 トランプ大統領は今月6日、エルサレムがイスラエルの首都であると宣言したが、国際社会から批判を浴び、各地で抗議デモが起きている。

 トランプ大統領の宣言は、70年にわたる米外交政策の大きな方針転換だ。イスラエルからは賛同を得たものの、パレスチナ側からは批判の声が出ている。パレスチナは東エルサレムを将来樹立する国の首都にすることを目指している。

 ネタニヤフ首相は「70年にわたってエルサレムはイスラエルの首都だった」と指摘。トランプ大統領の宣言については、事実をきちんと明示したものだとし、「平和は現実に基づいている。平和は現実を認識することに基づいている」と述べた。

 ネタニヤフ首相は、「欧州の全てのあるいは大部分の国々が大使館をエルサレムに移転し、エルサレムがイスラエルの首都だと認め、イスラエルとともに、治安や繁栄、和平のためにしっかりと関与すると信じている」と語った。

(12月12日 CNN)

一押しして頂けると励みになります<(_ _)>

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です