今回捕まったAKB48ヲタに課せられた罪名は「偽造有価証券交付」「有価証券偽造」容疑。建前上、握手会とはファンに対するタレントの無償サービスの一環であって、そこに財産的価値は無いはず。しかし本件において警視庁は、握手券を財産上の権利を有する有価証券と定義しました。
となると、ここで問題になるのは、「握手を受けることって財産上の権利になるのか?」あるいは「有価証券と言うならば握手券のフェアバリューって一体いくらよ?」という点。もし前者が認められれば、握手=接客行為となり風営法違反でアウト。後者で、握手券の算定価格が封入元CD価格の2割を越せば景品表示法違反でアウト。さて、仮にこのまま裁判沙汰になったとすれば、司法の判断はどう出るでしょうか?。
<AKB48>偽造握手券配る…容疑の25歳と17歳逮捕
女性アイドルグループ「AKB48」のメンバーとイベントで握手できる「握手券」の偽造版を配ったとして、警視庁少年事件課は22日、東京都練馬区大泉町6、無職、大井邦彦容疑者(25)と埼玉県川口市の私立高校3年の少年(17)を偽造有価証券交付容疑で逮捕したと発表した。同課によると大井容疑者はAKBの熱狂的なファンで、偽造も認めており、有価証券偽造でも立件する方針。
大井容疑者の逮捕容疑は、09年11月10日に渋谷区の路上で、東京ビッグサイト(江東区)で行われるAKBのCD発売記念イベントの偽造握手券15枚を少年に渡したとしている。少年は同日、大井容疑者から受け取った偽造券15枚を大阪府内の無職少年(19)に渡したとしている。大井容疑者は「パリ公演でのファンの待遇に不満があり、スタッフを困らせたかった」と供述しているという。
同課によると、大井容疑者と少年はファン仲間。3月に都内で開催されたイベントで、少年が別の偽造券を持っているのにイベントスタッフが気づき、警視庁に相談していた。【町田徳丈】
(6月22日 毎日新聞)
結論から言えば、「従来の法解釈なら問題とはされません」。建前通り「握手=無料・無償のサービス」と定義されれば、また、仮に握手券の価格算定が行われたとしても、握手券価格はCD価格の2割を超さないと定義されれば、万事それまでのことです。そもそも、件の握手券に「財産上の権利は記載されていません」。握手券は有価証券か否かを論ずる上で、その要素の有無は大きいです。
ぶっちゃけ、仮にこの握手券が反社系アングラ取引&オークションで取引されていて、異常な高額で相対取引されていて、詐欺事件の舞台になるなどして社会問題になっているとしても、その状況を改善するのに、「握手券は有価証券か否か」という司法判断が意味をなす部分はほとんどありません。今回の事件は、例えるならば「ビックリマンチョコのおまけシールをファン同士が互いの了解のもとで売買している。そこにニセモノを持ち込んだバカが、関係者一同からフルボッコにあった」ということに過ぎません。問題視されるのはそこだけ。本件に関しては、有価証券云々ではなく私文書偽造行使でおバカたちが灸をすえられて一件落着でしょう。
が、では実態はどうなのか?と言えば、それはもちろん「握手券=有価証券」。更に言うと、本件で一番えげつないのは、今回の事件の温床となるあるいは実態として違法ギリギリの商売を、そのギリギリさを承知の上でや展開して市場操作しているAKB48関係者ですよ。今回の握手券や先日の総選挙用投票権付きCDなんて、「ビックリマンチョコ」をより極彩色に色付けしてスケールアップした代物、本来の目的とはかけ離れた思惑で売買される金融商品でしかありません。そして、その商品に、AKB48というタレントたちが歌った歌に対する、秋元康氏はじめ「ビジネスに携わる大人たち」からの愛情なり敬意は欠片も感じられません。
本件で「被害者にして事件の背景を演出している当事者」の立場に立たされた秋元康氏やAKSその他の連中が、それでもこれまで通りえげつない搾取ビジネスを続けるようでしたら、流石に問題でしょうね。法的にと言うより社会通念的に。今回騒ぎを起こしたおバカヲタに課せられた罪名が、その犯罪行為から鑑みて妥当とは思いません。しかし、AKB48ビジネスに携わっている連中に対する警鐘としては、至極妥当だと考えます。その意味でこのおバカヲタたちの罪名は、AKB商法のえげつなさを実に端的に表していると思うのです。
ああ、ちなみにAKB商法って、全体的に見て有価証券をはじめとする金融商品の販売手法、金融業界のビジネスモデルとそっくりですよね。「一握りの勝者を食わせるために絶対多数の敗者から搾取する」図なんて、まさにそのまんま。その意味でも「握手券=有価証券」という認識は、当たらずと言えども遠からずと言ったところでしょうか。
ここで「【MMD】東方漢娘祭!!よっしゃあ漢唄![HD720p] 」を紹介。
それにしても真打2ショットはホント男前だなあ。
>握手会とは…無償サービスの一環であって、
>そこに財産的価値は無いはず
>警視庁は、握手券を財産上の権利を有する
>有価証券と定義しました
とても参考になりました。私は、AKBファンでしたが、2月の喜び組事件でファンを辞めた者です。3mirror と申します。
ファンを辞めた後も、あまりにもメディア露出がはげしく、AKB関連ニュースをこまめに目を通していました。が、言及されていた毎日新聞の記事は見逃していました。とても丁寧に言及されていて参考になりました。
私は、AKB商法とは、いわばキャバクラ貢ぎ商法と理解しています。もりろん、こんな非社会的なビジネスをするAKB48が嫌いですし、彼女らが“国民的アイドル”と名乗ること自体、非常に不愉快な思いをしていました。
今回、kaguraさん紹介記事など読みまして、さらにその思いを強めました。ありがとうございます。
コメントありがとうございます。こちらでブログを書かせて頂いている神楽と申します。よろしくお願い致します。
喜び組事件は、実態が発覚した後のAKS社長のリアクションが余りに酷過ぎたので、私も眉をひそめてしまいました。秋元康氏とその取り巻き連中は、四半世紀経ってもやっていることが全く変わりませんね。
>AKB商法とは、いわばキャバクラ貢ぎ商法と理解しています
仰るとおりですね。「お店や組織でTOPを取るために客から必要以上に貢がせる」という搾取ありきなビジネスモデルは、キャバクラやホストクラブ、ついでに一部宗教団体がやっていることそのまんまです。ビジネスモデル的には昔からあるものですが、とても褒められた行為ではありません。
特に宗教においてそうでしょうが、貢ぐと言う行為は、一面において貢がされる側の「主体的判断」に基づくものでもあります。ですので、一概にその行為自体を被害的とは言えないとは思いますが、ことAKB48とその商法に対しては、少々冷静になってあたる必要があるように思いますね。