橋下徹@維新、逆風下での訪米断念 ~ ここで「訪米して一人でも多くの米国人に自分の真意を伝えたい!」と強弁や演技が出来ないのが、政治家としての橋下の限界

 自分が招いた逆風の風向きを自分で修正することもできず、修正するために無茶を承知で敵地に飛び込むこともできず、死中に活を求めるような度胸を見せることもできないような人間を、誰が自分たちの代表として推すかよ。

 政治家に求められる重要なスキルの1つは、逆境下でのサバイバビリティであり、その過程で必要とされる演技力だ。今回の一連の「従軍慰安婦」「米軍への風俗利用提案」騒動で、橋下にはそれらのスキルが欠落していることが明らかになった。

 橋下のパーソナリティは「政治家と喧嘩ができる騒動屋」であって、「騒動の中で勝てる喧嘩をやれる政治家」じゃないということだ。せいぜい、「大阪市市長として」「市民のために」「敵対勢力と」「仲良く喧嘩しな」。

<橋下氏訪米断念>外交力アピール頓挫 環境整えられず

 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は28日、6月に予定していた訪米を取りやめると発表し、7月の参院選をにらんで外交力をアピールしたかった思惑も頓挫することになった。橋下氏は27日、日本外国特派員協会で旧日本軍の従軍慰安婦などをめぐる自身の発言について釈明したが、訪米の環境は整えられなかった。

 橋下氏は28日、「今のこの状況で僕が訪米するメリットはなく、地元にも負担をかける。総合的に判断して中止という判断になった」と訪米中止の理由を説明した。訪米は市長としての「公務」として6月中旬に予定されていた。しかし、正念場となる夏の参院選を控える維新にとっては「訪米で日米関係重視の姿勢を示し、外交力もアピールできる」(党関係者)との期待があっただけに、党幹部は「ぜひとも行ってほしかった。残念だ」と漏らした。

 だが、党内では、自らの発言に対する釈明を続ける橋下氏に「発言を抑え、おとなしくしてほしい」との反発も強まっていたのも事実だ。

 党幹部は、橋下氏の訪米中止について「自身の発言についてこれ以上釈明すれば、夏の参院選や東京都議選に一層、悪影響を与えていた。訪米中止はいい方に作用するだろう」との見方を示した。

 若手議員も「地元でも支持者から『橋下氏は言い訳ばかりしている』と言われ、女性のみならず、男性からも批判の声が上がっている。訪米しない方がいい」と語った。

 他党からも訪米中止を歓迎する声が出た。

 民主党の細野豪志幹事長は28日、記者団に「他国の軍隊に風俗業の活用を勧めるというのは外交上、極めて不適切だ。(釈明を続けて)泥沼にはまるより一回、区切りをつける方が国益上いい」と指摘。自民党幹部も「訪米をやめて良かった。行ったら行ったで、またおかしなことになっていただろう。(発言について)本音で言えば分かってもらえるというものではない」と語った。【阿部亮介、念佛明奈】

(5月28日 毎日新聞)

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