事故の当事者たるパキスタン政府は「機体の技術的欠陥」による事故といい、地元の反政府武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」は「自分たちの地対空ミサイル」による撃墜と主張している。
面妖な話だね。
普通の国の普通の墜落事件なら、政府は自分たちの責任を回避したくて「テロリストの仕業」と主張するもんだし、普通のアナキスト連中なら「政府は自分たちの不手際の責任を我々に押し付けている」と非難するもんだが、パキスタンは逆なのな。
パキスタン政府は「テロリストに手の内を読まれている(かも)」という弱みを見せたくないスタンスがミエミエだし、タリバンは自分たちの成果にできるものなら、真偽は関係なく何でも手柄面でアピールしたがってる。双方ともにみっともないねえ。顧みて、
こういう関係って、一見間抜けなようで健全なのかもな。お互いがお互いの立ち位置を正しく認識していて。
で、今回の騒動はどっちなの?。ヘリは「墜ちたの」?「墜とされたの」?
【ニューデリー=黒沼勇史】パキスタン北東部ギルギット・バルティスタン地域で8日、各国の駐在大使らを乗せた軍用ヘリコプターが墜落し、ノルウェー大使ら7人が死亡した。当局は「墜落」としているが、反政府武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」が犯行声明を出した。声明が事実なら、各国要人の乗る軍用機がテロの標的となり撃墜されるという異例の事件となる。
死亡したのはノルウェー大使、フィリピン大使のほか、マレーシアとインドネシアの大使夫人。パキスタン人もパイロット2人と軍人1人が死亡した。負傷者にはポーランド大使とオランダ大使が含まれる。日本の猪俣弘司大使は無事だった。パキスタン外務省が主催した3日間のツアーに招かれた大使らが4機のヘリに分乗し、うち17人を乗せた1機が墜落した。
墜落機についてTTP報道官は、犯行声明の発信に使う電子メールのアドレスで日本経済新聞などに声明を送り「TTPの特殊部隊が地対空ミサイルでパキスタン軍のヘリを撃ち落とした」などと表明した。ツアーに参加したパキスタンのシャリフ首相を狙った攻撃と主張し「彼は別のヘリにいて逃れたが、我々は今後も特にシャリフ(首相)と彼の仲間を標的にする」と警告した。
在パキスタン日本大使館によると「シャリフ首相のツアー参加は8日朝まで知らされていなかった」という。パキスタンのアシフ国防相はヘリが「技術的欠陥」で墜落したと主張している。
ツアーの詳細は不明だが、中国の資金援助を受けるインフラプロジェクトの現場視察が含まれていたとの現地報道もある。ヘリが墜落したギルギット・バルティスタンは、パキスタンやインドが領有権を巡り係争中の地域。2013年にも外国人観光客ら9人が死亡するテロがありTTPが犯行声明を出している。
(5月8日 日本経済新聞)
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