「軍隊は家に例えると、防犯用の鍵であり、(軍隊を持つことは)しっかり鍵を付けようということ」と語った。さらに軍隊を持たない南太平洋の島しょ国バヌアツ、ナウルの国名を挙げ、「家に例えると、くそ貧乏長屋で、泥棒も入らない」などと両国をやゆする発言をした。
国を護るための軍隊を持つということは、獲られる財産の有る無しの問題なのか?。違うだろ。貧乏な小国だって、この先、海底資源開発や軍事上の理由から外敵から狙われるかも知れない。国土という「家」を侵略される恐れありとなれば、国民は武器を手に取るさ。軍隊という体裁は関係なく。必要に応じて、財政の許す範囲で。
仮に、財政がそれを許さないなら、国際社会への働きかけを含めて、打てる手を打てる限り打つさ。それが外交。その外交すら当てにならなければ、全ての英知を集めて国を護る策を練り、抵抗なり交渉なり国民の意思を固める。それが政治。
それらの議論や可能性を抜きにして、「盗まれるほどの財産のない貧乏国なんだから、軍隊が無くても平気」というのは、両国の国民をただ侮辱するだけの発言、世界第三位の経済大国の国民「として生まれただけの人間」の傲慢な性根の発露だ。
軍隊云々以前に、国を護るために「あらゆる策」を講じることが重要なのは、バヌアツもナウルも、そして日本も変わらない。軍事という凶器の使用は最後の手段であり、安易にその凶器を弄ぶのは政治の怠慢だ。日本は今の地政学的な位置や国際社会におけるポジションから考えて、財政の許す限りにおいて、国民のコンセンサスの許す範囲において、身の丈にあった軍事力を有すれば良い。その努力の末に、抜かずの宝刀を備え、鍛え続ける軍隊こそ最強よ。
驕るなかれ。煽るなかれ。狼狽えることなかれ。少なくとも、自分たちの主張を正当化するために他国を貶める論法なんて、今回のようなケースでは、全く必要ない。
ちなみに、バヌアツという国名の意味は、現地の言葉で「我々の土地」。百田氏は当然知っていたよな。知った上で、今回のような失礼を働いたんだよな。
「貧乏で泥棒も入らない」=軍隊ないバヌアツなどやゆ-NHK経営委員の百田氏発言
NHK経営委員を務める作家の百田尚樹氏は24日午後、岐阜市内で開かれた自民党岐阜県連の定期大会で講演し、自らを憲法改正派と紹介した上で、「軍隊は家に例えると、防犯用の鍵であり、(軍隊を持つことは)しっかり鍵を付けようということ」と語った。さらに軍隊を持たない南太平洋の島しょ国バヌアツ、ナウルの国名を挙げ、「家に例えると、くそ貧乏長屋で、泥棒も入らない」などと両国をやゆする発言をした。
百田氏は2月の東京都知事選の応援演説で、対立候補を「人間のくず」と非難したことなどが問題視され、NHK経営委員会(委員長・浜田健一郎ANA総合研究所会長)が「委員一人一人が、公共放送の使命と社会的責任を深く自覚し、一定の節度をもって行動する」との見解をまとめた経緯がある。外国をやゆする今回の発言は波紋を呼びそうだ。
百田氏は講演で歴史教育にも言及し、「日本の歴史の中で最も大事な事件は大東亜戦争。しっかり勉強しないと、今現在の国際社会は語れない」と強調。その上で「歴史教育を取り戻すため、自民党のみなさん、頑張ってください」と語った。NHKは放送法で不偏不党を求められており、作家の立場での講演とはいえ、特定の政党に肩入れするような発言は問題視される可能性がある。
(5月24日 時事通信)
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