数千万台「つながる車」走行データ分析瞬時に、渋滞「車線別」予測も…NTT実用化へ

自動運転車向けインフラとしてはもう少し進歩が必要かな?

数千万台「つながる車」走行データ分析瞬時に、渋滞「車線別」予測も…NTT実用化へ(2023/1/4 読売新聞)

 NTTは2023年度にも、インターネットに常時接続する「コネクティッドカー(つながる車)」から集めた最大数千万台分の膨大な走行データを瞬時に分析できる技術を商用化する。車が送信する道路状況のデータを組み合わせ、安全や渋滞に関わる情報を素早く正確につかむことができるようになる。将来的に完全自動運転化に向けた基盤となる技術で、国内外に売り込んで世界標準を握ることも視野に入れている。

 NTTが開発し特許を取得した独自のデータ処理手法で、走行中の車から送られた膨大なデータから特定の場所や時間帯など必要な情報だけを瞬時に取り出すことができるようになった。

 例えば、ある車の車載カメラが捉えた画像から路上の障害物の位置を特定した後、後続の車に素早く知らせることができる。従来の技術では障害物を覚知してから通知するのに20秒程度かかっていたが、約5秒に短縮した。突然の落下物を避けやすくなり、事故の防止につながる。

 これまでは道路ごとが主流だった渋滞状況の把握を車線単位でできるようにもなる。渋滞を細かく予測して、燃費を抑えた走行ルートを提案する機能も想定されている。

 つながる車が数百万~千万台規模に増えれば情報量も膨大になり、処理に時間がかかってしまうのが課題だった。NTTはトヨタ自動車との実証実験により、3000万台以上の車が同時に接続してもデータを安定して処理できることを確認した。実用化のめどがつき、23年度中にも国内の自動車メーカーがこの技術を基にしたカーナビなどのサービスを採用する可能性がある。

 自動車検査登録情報協会によると、22年9月末の国内の乗用車数は約6200万台。この大半がつながる車になっても対応できることになる。車同士が周囲の情報を瞬時にやりとりする技術は、どんな場所でも人による操作が不要な「完全自動運転」の実現に欠かせない。NTTはこの技術を自動運転の社会基盤として育てる考えだ。

 ◆コネクティッドカー=通信機器を搭載し、インターネットに常時接続して外部と情報のやりとりができる自動車。スマートフォンと連携して離れた場所から操作できたり、事故の際に自動で緊急通報したりする。車同士を通信でつなぎ、詳細な交通状況を把握して事故を防いだり、渋滞を緩和させたりする効果も期待されている。

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