今更だけどやらないよりはマシ。少なくとも、不正確極まりない目視試験(VT)への依存度を下げることには大賛成。
JR5社、特にJR東海からすれば「報告期限まで時間もないし、点検車両は多いし、チェックはVTでかまわないというのが国交省からのお達しだったんだから別にいいじゃん」と主張したいところだろうが、「のそみ34号」のトラブル発生の経過から考えると、今回の検査結果は問題の本質的な解決になってない。
ただ、UTは検査環境に結構影響受けるからなあ。個人的には、今回の事故を契機に、一気にこっちの路線に行って欲しいと思うのよ。
放射線透過試験(RT)や超音波探傷試験 (UT)のようなデリケートな検査を、航空機相手のようにいちいちやっている時間も人手も施設もないのなら、鉄道業界は「油と泥に塗れていることが普通に前提な」大型車両の非接触・自動・精密探傷を行える機器の開発と導入を、今回の事故を契機に進めるべきだと思う。
幸いというべきか、日本車両製造以下、川崎重工業や日立といった主要な新幹線メーカーはプラント屋でもあるんだから、大型構造物の探傷用ということで予算も取りやすいだろうし、メーカーの垣根を越えた共同開発もできるだろう。
たとえば、日立は大型筐体向けのレーザー超音波探傷で面白い技術持ってるだろ。先頭切って取り組んでくれると、みんなハッピーになると思うんだけどなあ。
内部の傷探る「超音波検査」導入検討 従来検査では表面の傷しか判明せず JR西・東海
博多発東京行きのぞみ34号の台車に亀裂が見つかり運輸安全委員会が新幹線初の重大インシデントに認定した問題を受けて、JR西日本とJR東海が、新幹線の台車に超音波を当てて内部に傷があるか調べる「超音波探傷(たんしょう)検査」の導入を検討していることが分かった。亀裂の原因は調査中だが、従来の検査では台車表面の損傷しか確認できず、内部の傷が分からなかった。検査の有効性が確認できれば、国土交通省は新幹線の検査マニュアルに新たに盛り込む方針。
同省の規定では、新幹線の台車の検査は、3年または走行距離120万キロに達するまでに1度、車体を分解して行う「全般検査」の際と、1年6カ月または同60万キロごとに実施する「台車検査」の際に詳細に行うよう定められている。
新幹線を運行するJR5社(北海道、東日本、東海、西日本、九州)によると、台車の検査は腐食や変形がないかを目視で確認。負荷が集中する箇所に限り、磁気を帯びた粉を振りかけて表面の微細な傷を見つける「磁粉(じふん)探傷検査」で調べている。
一方、超音波探傷検査は、音波を当てて反射音の大きさや波長の長さから内部の傷や空洞を探る手法で、航空機のエンジンなど金属の溶接部分を調べる際に用いられる。新幹線では車軸の検査で行われているが、台車には実施されていない。
今回の事態を受け、JR西と、N700系車両を持つJR東海は「台車の亀裂は想定外の事態。より詳しい検査をする必要がある」(広報担当者)として超音波による検査を行い、効果を検証する。
亀裂が見つかったのと同じN700系が対象で、車両数はJR西日本が94編成計1116両のうち16編成計256両、JR東海は133編成2128両のうち80編成1280両となる。
誉田(こんだ)登・龍谷大教授(材料強度学)は「金属の溶接部分は施工不良で内側から傷が入ることがある。溶接部が亀裂の起点の可能性があるなら内部を調べる必要がある」と指摘している。
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