今日は海外の政権交代ネタで興味深いものが2つ。1つ目はオーストラリアでの政権交代。この件については、産経新聞が一番コトの本質を掴んだ記事を載せていました。政権にせよ世論にせよ、それを確実に手中にする輩は「一過性の騒動」ではなく「社会構造の穴と隙間」をこそ利用する。「政権交代=前政権への批判」と考える近視眼と、永住外国人への選挙権付与を認めてもいいと安直に考えているお花畑は、今回のオーストラリアにおける政権交代の意味とその背景をよくよく理解/学習せよ。
豪“失政なき政権”敗北…イッツ・タイム症候群
【シドニー=藤本欣也】オーストラリアで約11年ぶりに労働党政権が誕生することになった。「資源ブーム」を背景に好景気が続く中で行われた今回の総選挙では、有権者はハワード首相(68)の実績ではなく、ラッド労働党党首(50)のニューリーダーとしてのイメージに重きを置いた。“失政なきハワード政権”が敗北した理由を検証する。
■「飽きた」国民、景気拡大あだ
「ハワード政権の経済実績にはほとんど欠点がない。在任中の11年間、国内総生産(GDP)は成長を続け、失業率は33年ぶりの低さだ」
英紙フィナンシャル・タイムズは、ハワード政権を高く評価した。この見方は国内外で共通している。ではなぜ、票に結びつかなかったのか。
しばしば指摘されるのは、国内に蔓延しているという「イッツ・タイム症候群」だ。「もうそろそろ政権交代の時期だ」という、理由なき国民感情を指す。長期政権への“飽き”である。
そこに登場したのが弁舌さわやかで、清新なイメージのラッド党首だった。「歴史のページをめくるときがやってきた」と世代交代を掲げた。
ハワード首相は「わが国に必要なのは、新しいリーダーシップではなく、正しいリーダーシップだ」と実績を強調する戦略をとった。しかし現状維持志向が強いという豪州国民も、今回ばかりは野党に一票を投じた。
それを促した大きな要因の一つが金利の引き上げだ。景気の過熱を懸念した中央銀行によって、この3年間で6回も利上げが実施されていた。豪州では自宅を購入する若者の比率が高い。国民の3割が住宅ローンを組んでいるという。当然、利上げは懐を直撃する。
「経済成長の果実が庶民に行き渡っていない。だからこそ政権交代が必要なのだ」というラッド党首の論理が浸透していった。ハワード政権には景気拡大が逆にあだとなった格好である。
■中国の影…変わるアジア外交
豪州で増え続ける移民票もマイナス要因となった。厳しい移民政策を取ってきたハワード首相は移民層に人気がない。今や国民の4人に1人が国外出身者である。中国系が増えており、中国語を操るラッド党首に有利に働いたのは間違いない。
「豪州は他国に追随するばかりでなく、ときにはリードすべきだ。自らの声を持つべきなのだ」。ラッド党首はハワード政権の対米外交を念頭に、こうも訴えた。
独自外交の第一弾が京都議定書の批准となる。労働党政権下でも対米外交を重視する路線は不変だろうが、新政権で変わるのはアジア外交だ。
中国系移民が増え続ける中、中国が日本を抜いて豪州の貿易相手国のトップに躍り出た今年、対日外交を重視したハワード首相から、親中派のラッド党首に政権が交代するのは、豪州の新時代を象徴するものでもある。
(11月24日 産経新聞)
2つ目が北朝鮮。正男くんはちょくちょくメディアに顔を出してたんで何となくイメージは分かるけど、正哲氏ってぶっちゃけわけわかめ。正日パパンの時のように、肩書き発表まで秘蔵っ子→国内外へのイメージ戦略込みで徐々に露出を増やしていく方針なのかな?。もっとも、それまで北朝鮮の政治体制がもてばの話だけど。難民リスクやら、国境問題やらで「もたせないといけない」のが辛いトコだよなー>国際社会。
<北朝鮮>金正日氏後継に正哲氏が最有力 最重要職に抜てき
【北京・西岡省二】北朝鮮の最高指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記(65)の次男、正哲(ジョンチョル)氏(27)が同国の最重要ポストの一つである朝鮮労働党組織指導部副部長に抜てきされていたことが23日分かった。北朝鮮政権に近い複数の関係者が毎日新聞に明らかにした。正哲氏は金総書記と同じ「中央党本庁舎」に執務室を持ち、頻繁に金総書記の指示を受けているという。金総書記が組織指導部での政治活動を通して党組織を掌握し、故金日成(キム・イルソン)国家主席の後継者となった経緯に加え、後継候補の兄弟2人に党要職が与えられなかったことから、金総書記の後継者として正哲氏が最有力となった。
これまで金総書記の後継者として名前が挙がっていたのは、映画女優だった成恵琳(ソン・ヘリム)さん(02年5月死亡)との間に生まれた正男(ジョンナム)氏(36)▽大阪出身の帰国者の高英姫(コヨンヒ)さん(04年6月死亡)との間に生まれた正哲氏▽その弟の正雲(ジョンウン)氏(24)の男性3人。
関係者によると、正哲氏は数年前、組織指導部に配属され、今年になって副部長に昇格したとされる。党務経験が少ないため、金総書記の側近である李済鋼(リ・ジェガン)第1副部長が「後見人」として執務を補佐しているという。
一方、弟の正雲氏は党の要職ではなく朝鮮人民軍に配属され、後継レースから事実上脱落。正男氏は「組織指導部所属」との説が一時流れたが、実際には同部に所属しておらず「放任状態」(同関係者)とされる。
金総書記が組織指導部副部長に抜てきされたのは1969年で、正哲氏とほぼ同年齢だった。関係者は「金総書記が70歳になる5年後には正哲氏は32歳。金総書記が公式に後継者として登場した時と同じ年齢になる。その際に正式発表される可能性が高い」と分析している。
【ことば】◇朝鮮労働党組織指導部◇ 北朝鮮を支配する朝鮮労働党を統制する部署で、北朝鮮社会全般を指導する組織。高級幹部の人事権や各組織に対する検閲権など強大な権限を持つ。金正日(キムジョンイル)総書記も22歳の時に「組織指導部指導員」として実質的な党活動を開始、同副部長、同部長を歴任して権力を固めた。組織指導部長は現在、空席で、金総書記が兼任しているともいわれる。
(11月24日 毎日新聞)
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