これも一種の国進民退in中国な件について

 政治的要素に基づく国民の所得格差拡大や、国家資本主義の功罪など、経済面における中国の「国進民退」現象の歪さは改めて言うことではありません。加えて、この記事にある様な相変わらずの統制/警察国家ぶりも、共産党政権/官僚機構が強大化する一方、一般社会や国民の成熟は阻害されている「国進民退」の一シーンと言えますな。

 それにしても、国進民退から見える中国の国家スタイルについてもさることながら、今の国際社会を観ていると、欧米先進国とBRICs等の新興国との関係って、ルネッサンス期のイタリア半島諸国と独仏の絶対君主制国家に似ているよなあ。成熟期に入って効率的な成長戦略を取れなくなってきた文明国が、田舎の中央集権国家のゴリ押しに為す術が無いところとかが特に。

 絶対君主制国家に民主主義の目が芽吹くor復活するには、上記の時期からざっと3世紀を必要とした。中国の場合は、流石にそこまで必要とはされないだろうけど、民主主義が確立されるまでに流される血の量が、フランス革命から第二帝政にかけてのフランスより少ないってことはないだろう。中国の民衆はともかく、為政者達はその可能性に対してどのように考えているんだろう。自分たちの政権の在り様に、どのようなオチを付けるつもりなんだろう。

地方政府が市民の北京旅行を止める本当の理由とは―中国

 2011年9月23日、光明網によると、今月15日に旅行のため北京に向かった河南省洛陽市の青年、趙志斐(ジャオ・ジーフェイ)さんが社会安定維持人員から暴力を受け、翌16日に洛陽市の路上で意識不明の状態で発見された。

趙さんは、陳情のために同じく河南省から上京していた3人グループと北京の宿で偶然同室になり、メンバーだと誤解した河南省の社会安定維持人員から暴力を受けた。その後、社会安定維持人員は、趙さんを河南省へ護送し、意識不明状態のまま路上に置き去りにした。

 洛陽市洛龍区古城郷陳情事務所の楊啓(ヤン・チー)主任は、趙さんの父親に対し「息子さんはもう懲りただろう。北京には行かない方がいい。今回は無事に見つかったからいいものの、次回見つからなかったらどうする?」と、今回の事件を陳情しないよう威嚇するかのような言葉を発した。

 近年、こうした政府の社会安定維持活動により、かえって民衆の政府に対する恨みや怒りが増幅し、社会の不安定を引き起こしているとして、反対の声が上がっている。多くの社会安定維持人員は、社会の安定のために役立つことをしているという意識を持っているが、実際のところ、火に油を注いでいる場合が多く、より多くの陳情者とその同調者を増やし続けているのが現状だ。(翻訳・編集/AN)

(9月25日 Record China)

 そんなことを考えながら、最近つとに思う。成熟して伸びしろの無い国家とそれに安住している受け身国民で構成されている先進国に、組織的かつドラスティックな改革は無理だと。ルネッサンス期イタリアの、チェーザレ・ボルジアのような強烈な個性を持った人物が登場しない限り、その退潮は止められないと。そういう安直な考えこそが、結果として国を滅ぼしかねないと。そして、その滅びかねない状況からしか、国の再生は起こり得ないと。

 ここで「紅魔館の不愉快な仲間たち!!vol.10」を紹介。


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あれ?なんかとてもいい話なような気が。

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