「あきらめなかったから、日本優勝だよ!」

 走力と組織力のバランス、そこに一部ではあるが各選手の個人技のスパイスが乗り、それを攻勢の気力がパッケージングし続けた結果の優勝。南アフリカW杯前の「走力と気力足らず+一部選手へのベッタリ依存」サッカーでもなく、W杯時の「己が実力に見合ったカウンターサッカー+窮鼠な気力過剰」サッカーでもない、そんな安心感のあるサッカーがもたらした大成果。

 ぶっちゃけた話、戦術的に見れば今大会の代表は、結構穴だらけでしたよ。今日の決勝に限っても、内田や藤本の出来なんて酷いモノ、攻撃もオーストラリアの堅守の前に弾かれっぱなしだったし。ただその一方で、不安定だった守備陣は途中から立ち直り、そして「アレ以外にシュワルツァーを抜くことはできなかった」ボレーシュートを放った李の、大会冒頭の未熟者っぷりからの劇的復活。どこかがダメなら、別のどこかが成長して帳尻を合わせるという、発展途上チームゆえの強さがあったザック・ジャパン。不安定故に逆にどこまで伸びてくれるのかと言う期待感はありますね。

 それにしても、ザッケローニ監督の戦術眼は凄い。基本戦術の堅実さもさることながら、交代枠の使い方が見事。後半早々に藤本を諦めて岩政を投入したことで、ケーヒルなど長身選手への対応だけでなく攻撃のリズムも格段に良くなったもんなあ。あれで攻守両面において日本チームは一息つけたと思います。内田の交代はもう少し早くてもいいかと思ったけど、延長後半ラスト10分弱のオーストラリアのパワープレーを凌ぐにあたって、若い伊野波を「ポカを起こさない程度の時間帯で&時間潰しに」入れると言う選択は正しい。そして前田に代えて投入した李がドンピシャでしょ。短期決戦に弱いってのがザックの定評だったけど、なかなかどうして。流石は監督業やって四半世紀のベテラン、流石ですわ。就任当初に失礼なコメント書いてまことに以って申し訳ない次第です。

 ともあれ、4度目のアジアカップ優勝おめでとう>サッカー日本代表。そして、いい時期にいい指揮官に率いられている、若く未完成な日本代表の成長が楽しみです。

日本が延長戦で豪州を下し、4度目のアジア制覇 本田圭がMVP=サッカー日本代表

 サッカー日本代表は29日、カタールで行われているアジアカップの決勝戦を戦い、延長戦でオーストラリアを1-0と下して2大会ぶり4度目の優勝を遂げた。決勝ゴールは途中出場の李忠成、本田圭佑は大会MVPに選ばれた。

 日本は本田圭、前田遼一らが先発。準決勝の韓国戦を累積警告で欠場した吉田麻也が先発に復帰し、韓国戦で右足小指を骨折して帰国した香川真司の代わりには、藤本淳吾が今大会初めてスタメンに入った。

 序盤、主導権を握ったのはオーストラリア。空中戦に無類の強さを誇るケーヒルのヘディングから、キューウェルらがシュートを放った。日本はDF陣が集中を切らさず対応し、無失点で切り抜けると、終盤は日本のパスが回るようになり、岡崎、前田がチャンスを迎える。しかし、両チームともにゴールは奪えず、0-0で前半は終了した。

 後半も仕掛けてきたのはオーストラリア。ケーヒルと今野泰幸のミスマッチを突いて、徹底して高いボールを入れてくる。これを見たザッケローニ監督は、長身DFの岩政大樹を投入し、高さでの不利を解消。守備が安定した日本は左サイドの長友佑都からチャンスを作ったが、ゴールネットは揺らせず。試合は延長戦に突入した。

 延長に入って、日本は前田に代えて李を投入。延長後半4分、その李が長友のクロスから鮮やかなボレーシュートを決め、日本がようやく均衡を破る。終盤はオーストラリアがパワープレーに出るが、吉田、岩政を中心に体を張って跳ね返し逃げ切りに成功。史上最多となる4度目のアジア制覇を成し遂げた。

 日本代表の先発メンバーは以下の通り。

GK:1 川島永嗣

DF:4 今野泰幸、5 長友佑都、6 内田篤人→2 伊野波雅彦(延長後半15分)、22 吉田麻也

MF:7 遠藤保仁、14 藤本淳吾→3 岩政大樹(後半11分)、17 長谷部誠(Cap)、18 本田圭佑

FW:9 岡崎慎司、11 前田遼一→19 李忠成(延長前半9分)

サブ:21 西川周作、23 権田修一、12 森脇良太、20 永田充、13 細貝萌、15 本田拓也、16 柏木陽介

(1月30日 スポーツナビ)

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