【バンコク浦松丈二】タイのプミポン国王は22日、ソンティ陸軍司令官をクーデター政権にあたる「民主改革評議会」の議長として正式承認した。国王代理が出席して陸軍司令部で承認式が行われ、テレビ各局は同日正午(日本時間午後2時)から、この模様を放映した。タイ国民が絶大な信頼を寄せる国王の正式承認を受けて、政権の「正当性」を誇示する狙いがあるとみられる。
国軍と警察でつくる評議会は20日夜、武力制圧したテレビ各局を通じて「国王が司令官を評議会議長として承認した」と伝えていた。21日夜には、プミポン国王に事態を報告する司令官ら国軍首脳の写真を内外メディアに配布した。連日の「承認」報道は、戒厳令下の民心を安定に導くためとの見方が出ている。
一方、評議会は22日、クーデターで首相職を追われたタクシン一族・側近の不正を調査する「国家汚職取締委員会」を刷新、新委員9人を任命した。同委員会はタクシン政権末期には活動停止の状態だった。国軍はクーデターを起こした理由の一つにタクシン政権の汚職を挙げていることから、強い姿勢を掲げることで世論の支持を得る狙いがあるとみられる。
評議会はすでに、前政権のチッチャイ副首相ら要人4人から事情聴取を進めている。推定資産2000億円以上といわれるタクシン氏のほか、ポチャマン夫人や親族、閣僚のほぼ全員が調査対象リストにあがっている。
調査の焦点は、タクシン氏一族の巨額株取引や、スワンナプーム新空港の機材納入をめぐる汚職疑惑だ。今月28日にオープンする新空港の汚職疑惑は、安全性にも影響しかねないだけに国民の関心が高い。
国内世論は汚職追及を望む声が多い。バンコクのアサンプション大が22日に行った世論調査によると、タクシン政権の汚職について74.5%が「追及すべきだ」と答えた。「許すべきだ」は9.9%、無回答は15.6%だった。
(毎日新聞) – 9月22日
ええっと今回で十何回目ですかね?「クーデター発生→それに国王がお墨付き与えて正当化」inタイ王国。すっかりかの御国の風物詩ですなあ。
さて、「官軍の実力行使」自体の是非はともかく、強硬なメディア統制を行い、強烈な治安維持体制を引き、4月の選挙後も権力を手放さなかったタクシンとその一族・側近を手早くパージするには、今回のような手段が一番効率的なのは確かです。ただし、問題はその後。タイでこの手の官軍騒動が続くのは、その効果が常に国王-政権-軍部間で帰結し、民意を反映しない安直な権力争いの一手法として常態化しているからです。明治以前の日本のように。この基本姿勢が変らない限り、かの御国では今後も本質的には何も改善せず、同じ騒動が起き続けるでしょう。
まあ、人死にが出なけりゃそれもいいかとは思いますが。とりあえず、あちらに進出した企業の皆さん(特にタクシン一派との握りが強い企業)は、お疲れ様&これから大変ですね。
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