ライブドア事件でも学生の起業意欲は衰えず、前社長堀江貴文被告(33)は「尊敬する起業家」の4位-。立教大学(東京都豊島区)が学生を対象に行った意識調査で11日、こんな結果が出た。
アンケートは5月中旬、企業経営に関する講義がある同大の経営、経済、社会の各学部に在籍する学生789人に実施した。
就職数年後も含め、卒業後に起業を考えている学生は約4人に1人の27%。ライブドア事件の起業意欲への影響については、「減退しない」と答えた学生が89%に上り、11%だった「減退した」を大きく上回った。
尊敬する起業家トップは松下電器産業創業者松下幸之助氏で113票。2位はソフトバンクの孫正義社長で99票、3位はマイクロソフトのビル・ゲイツ会長で84票。堀江被告は56票を集め、5位のホンダ創業者本田宗一郎氏(44票)を上回った。
(時事通信) – 6月11日
起業家としての「堀江氏」に、学生をはじめとする若い世代が憧れを抱くのは理解できます。様々な目標を設定してトライするポジティブな姿勢に魅かれるのは、人として当然なことですから。が、同時に、経営者としての「堀江容疑者」を妄信しているのであれば、その姿勢はいかがなものでしょう。
前にも何度か書きましたが、堀江容疑者そして村上世彰容疑者がビジネスの世界から排除されたのは、彼らの「金儲け」行為が周囲の「感情的な」嫌悪感を刺激したからではありません。極論すれば、法を犯したからでもありません。ビジネスの相手及び同業者に害を及ぼす行為を続け、かつそれを劇的に露出して世間の監視下に置かせる様な真似をしたからです。
特に堀江容疑者の投資ファンドスキームの悪用、村上容疑者のニッポン放送買収劇前後以降の脱法的インサイダー取引は、それまで国内外資関係無く、業者間の暗黙の了解の下「こっそり」為されていた限りなく脱法的なビジネス手法。にもかかわらず、堀江・村上容疑者はそれを思うまま、そして浅慮にも「おおっぴら」にやってしまった。これが自分で自分の死刑宣告書にサインをする行為だったということに、両容疑者は気がついていたでしょうか?
彼らにはビジネスを考える知識はあっても、その結果を想像し生き延びる知恵に欠けていた。敢えて言いましょう。彼らは「目的を持ってそれを立ち上げる」起業家であっても、「リスクヘッジも含めて事業を継続しうる」経営者ではない。加えて、堅気の世界と比べてより慎重さが求められるダーク・インダストリーに携わる人間としては、彼らはあまりにも無邪気で脇が甘すぎだ(ゆえに派手で目立って世間からは分かりやすい)。その脇甘な危なっかしい人間が、ゲーム感覚で藪を突付いて蛇を出した。そんなヘマをやらかした人間を守る義理なんて金融業界のどこを探してもありません。
拝金主義を忌避する(ように仕向けられた)世論が堀江・村上容疑者をキックアウトした?。それは順序が逆です。業界及び政界を含めた利害関係者が「官軍として」、彼らに詰め腹切らせて自分たちのバリューチェーンからキックアウトするために、世論をその方向に仕向けているのです。BtoC・BtoBtoC事業ならともかく、金融業界それもIB/MBサイドやその意を受けた人間が、世論の好き嫌いレベルのウェットな理由で動きゃしませんって。堀江・村上容疑者を直接キックアウトした側こそ拝金主義者の集団なのに、「村上の失脚は額に汗水たらしている者達の勝利!」なんて出来の悪いジョーク以外の何物でもない。
堀江・村上容疑者に憧れ、彼らのようになりたい、彼らと共に仕事をしたいと希望している若い人たちに神楽は問いたい。貴方方は自分たちが目的を達成した後の結果に責任を取れますかと。取れる方ならそれでよし、事の是非はともかくベストを尽くして下さい。その覚悟が持てない方に神楽は言いたい。堀江・村上両容疑者の生き方に憧れても彼らと同じ途を歩むのは止めてくれと。何かを成したいという目的意識だけで周囲に影響を及ぼす起業・ビジネスは、よくてリアル人生ゲーム、運と行儀が悪ければただの犯罪に堕す。そんな子供じみた行為で自滅(本人たちにとっては「リセット」に過ぎないのかな?ライブドア某幹部のように)するのは勝手ですが、巻き込まれる方はぶっちゃけ「超」迷惑。遵法・違法・脱法かどうかは別にして。
それにしても苦々しいのは、「連中の走狗」メディアの偏向ぶりというか、「本質に触れず、堀江容疑者や村上容疑者を貶めるだけが目的の」デコイネタのばら撒きぶり。事件の本質と関係ないところで世論を二極化・対立させて好奇心を磨耗させるその手練は、悔しくも「さすが」というべきですな。
P.S.
今更ですが、東京スタイルの一件で敗北しスポンサーに魂を売り渡す前までの村上氏は、神楽も結構評価してました。だから尚の事、今の村上容疑者には落胆度5割増なのです。
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