ぶっちゃけ、再上場やIBサポートfee稼ぎよりも転売の方がIRRは高いんだもん。適当な金出してくれる企業へ投資先を売っ払うことに、ファンド連中が痛痒すら感じるはずないじゃん。特に外資系とその丁稚に成り下がった「黒い目のユダヤ人共」や「現地協力者(カーライルの場合は大和SMBC)」に、そこらへんの同情というか同志意識を期待する方が大間違い。
あずまんが大王 – 空耳ケーキ / Raspberry Heaven
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第4部M&Aが忘れたもの(1)「超売り手市場」のひずみ(株主とは)
M&A(企業の合併・買収)ブームが最高潮に達している。買収ファンドという新しい株主などが触媒になり、企業を再編へと駆り立てる。だがそこに落とし穴はないのか。M&Aが置き忘れたものを追う。
「ファンド各社が組んで応札することで、価格を抑えてもらえないか」
青汁メーカーのキューサイは経営陣による企業買収(MBO)に伴い、二十三日に東証二部の上場が廃止になる。ファンド間の競争を勝ち残り、経営陣と共同で買収を決めたのは国内ファンドのエヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズだった。当初十社余りが名乗りを上げる争奪戦の最中にあるファンドは会社首脳から非公式にこう打診された。
経営陣はなぜ「談合」をファンドに依頼したのか。 同社のMBOは社長を四十二年間務めた創業者の長谷川常雄(73)が引退するに伴い、創業一族が握る六四%の保有株の売却を決めたのがきっかけだ。「何とか一株二千円以上で売りたい」。長谷川は株価が千円前後だった昨年春から多数のファンドに声をかけた。
「価格が実力以上につり上がると、過度の負債が経営の足かせになる」。MBO後も経営を担う社長の藤野孝(52)ら経営陣は買収価格の高騰を懸念。長谷川には伏せ、ファンドに話を持ちかけたのだ。
だが藤野らの画策は不首尾に終わる。落札価格は一株千九百二十円と長谷川の「希望小売価格」近くに決まった。六百億円強の買収総額のうち、ファンドが用意した資金はわずか百五十億円。残りは会社資産を担保に銀行借り入れや優先株の発行などで調達した。
NIFは昨秋の記者会見で「キューサイの将来性は大きい」と胸を張った。だが無借金経営を続けてきたキューサイはいきなり多額の有利子負債を背負う。同社の財務を詳細に分析したあるファンドの幹部は「価格低下が進む健康食品業界で、再上場にこぎ着けるのは容易ではない」と話す。
ファンドによる企業の争奪戦は過熱する一方だ。日本経済新聞社の調査では、日本での投資枠は四兆円余り。借入金も活用すれば総額二十兆円の買収も可能な資金力を持つ。日本のM&A市場は昨年時点で年間十五兆円。数少ない対象企業に多数のファンドが群がる「超売り手市場」だ。競争激化で買収価格がつり上がると、投資を回収できないリスクも出てくる。
回収メド立たず
文書保管大手のワンビシアーカイブズ(東京・港)はその一例。二〇〇三年に東京海上キャピタルなどファンド連合がMBOを実施。金額は当時最大の五百億円に膨らんだ。昨年、ファンドは保有株の一部を豊田自動織機に売却したが、四年が経過してもすべての資金を回収できるメドは立っていないもよう。買収時の多額の借入金が重しになっている。
買収ファンドは投資先に「ヒト・モノ・カネ」の経営資源を送り込み、経営陣と協力して企業価値の向上を図る「友好的な買収者」だ。M&Aの教科書では、買収ファンドの投資期間は五―七年程度が一般的で、短期で利ざやを稼ぐようなことはしないとされる。
ところが過去の事例をみると、必ずしも中長期に企業を支援しているとは言い難い。ユニゾン・キャピタルなどの老舗ファンドは投資先の一部を二―三年で売却している。米カーライル・グループは学生援護会の持ち株の約半分を購入からわずか半年でUSENに転売した。投資期間が短いほどファンドにとって投資利回りは高まるためだ。
サッポロホールディングスに買収提案しながらも、日本代表の西裕介(41)が「自ら経営する気はない」と話すスティール・パートナーズなどと一線を画してきたが、結果としてその投資行動に大きな差はない。
ファンドは世界的な低金利が生んだ過剰流動性の「落とし子」ともいえる。日本の産業を再編し、企業の成長力を高める触媒としての存在感も増すばかりだ。だが過当競争によって抱えたファンドのひずみは、企業の価値向上という本来の目的を失わせるリスクをはらむ。(敬称略)
(2007/03/10, 日本経済新聞)
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