戦力に劣る側が、正面決戦の前に敵の行動を鈍らせようとして破壊工作を行うのは当然のことで、極論すれば、自爆テロだろうが要人暗殺だろうが何が起きても当たり前。
この期に及んで、バグダッドで数十、数百人がテロの犠牲になったとしても、イラク軍及びその支援勢力がモスル奪還作戦のスケジュールを遅らせる可能性は欠片も存在しない。
スケジュールが遅れるとすれば、中東外で不測の事態が起こった場合。中東のこの現状に「最終決戦近し」と煽られた、世界中のホームグロウン・テロリストが手前勝手に行動を活発化させて、地元の治安維持組織のみならず、ISすらも予想していなかった大惨事を引き起こした場合。原発の占拠とかダムの破壊とか鉄道施設への放火とかな。
この手の調律されていない事態に、ISが後乗りで「…えーと。凄いだろ!これって俺たちが指示を出した結果なんだぜ!」と宣言したら、世界はその「宣言」に対して肯定も否定もできず、ISの「攻勢」に対して反撃も防御も先制攻撃もできない。
なんせ、実際にテロを起こした当人たちってば、精神的には既にISの構成員。「お前たちはISの指示を受けたわけじゃなく、自分で勝手にテロやったんだろ?」と身柄拘束後に詰められたところで、
となるのがオチだから。それがホントかウソか分からないから。
組織が動けなくなるのは、こういう「当事者の誰もが状況の説明ができない事態」のもとで方針を決めろと言われた時なんだよな。
仮においらがISの工作担当なら、世界のあちこちでモスルとは無関係に見えるテロを、ISの名前を使って世界中で起こすよう使嗾するね。先に挙げた大規模テロから、ハロウィンパーティでのリア充カップルへの嫌がらせに至るまで。
とにかく、数と種類を稼ぐ。組織に合理的な思考をさせないために。今のISにそれだけの余裕があるかどうかは知らないが、させる方にはそれに乗るだけのやる気と暇はあると思うよ。
今年も残り2ヵ月半。
モスル奪還が早いか、ISシンパによる同時多発テロが早いか ~ イラク政府軍、ラマディを奪還(2015/12/28)
イラク政府軍のモスル奪還が先か。ISシンパによる世界同時多発テロが先か。2016年は、この2つの出来事のどちらが早いかに注目だね。
結論が出る日は遠くない。
イラク政府が、過激派組織IS=イスラミックステートの最大の拠点となっているモスルを奪還する軍事作戦の準備を進める中、首都バグダッドでは自爆テロが起きて34人が死亡し、ISが犯行を認める声明を出しました。
イラク第2の都市モスルは、過激派組織ISがおととしの6月に制圧したあと最大の拠点としていますが、イラク軍などが近く奪還を目指して軍事作戦を始める見通しで、モスル周辺では部隊を増強するなど準備を進めています。
こうした中、首都バグダッドで15日、イスラム教シーア派の住民が多く住む地区で自爆テロが起き、34人が死亡し、30人余りがけがをしました。
現場では、過激派組織ISが敵視するシーア派の重要な宗教行事「アシュラ」に関連した集まりが開かれていたということで、事件のあとISは犯行を認める声明を出しました。
イラクではことし6月、政府軍が中部の都市ファルージャを奪還するなど攻勢に出ていますが、首都バグダッドなどでは、ISが自爆テロを相次いで起こしていて市民の犠牲者が増えています。
(10月15日 NHK)
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