3月末の「踏み絵」に向けて、中国と米国二大国の駆け引きが続く、アジアインフラ投資銀行(AIIB)とアジア開発銀行(ADB)。結論を言えば、当面勝勢に乗るのはAIIB、最終的に生き残るのはADBだ。であれば、「ADBの番頭」日本としては、「主人」米国を口説いて、自分が「代理人」としてAIIBに参加すれば良い。
中国への屈服でもなければ、米国への服従でもない。今の立場を活用すれば良いということだ。「銀河英雄伝説」におけるフェザーンのように。
同作における銀河帝国と自由惑星同盟を繋ぐ同国のように、日本はAIIB陣営とADB陣営のパイプとなれば良い。フェザーン回廊を管理する特別な自治国家だった同国のように、「歴史は長く足元の経済が拡大しているが様々な矛盾を抱えた一党独裁大国と、歴史の短い新興超大国としての盛りを過ぎつつある覇権国」を繋ぐ回廊国になれば良い。
経済的にも地政的にもシルクロード経済圏と環太平洋経済圏を繋ぐ立ち位置にある日本の強みを、今こそ活用すれば良い。これは、先行してAIIBへの参加を表明した韓国や台湾にはできない役割だ。
AIIBは、年間8,000億ドルのアジア方面のインフラ投資利権に、中国の経済力経由で群がりたい呉越同舟な連中の同床異夢なシステムだ。長くはもたん。特に裏切りに長け、中国からの直接的な圧力を受けにくい欧州が、素直に操り人形であり続けるわけがない。少なくとも、パキスタンから西、中央アジアの利権は渡さんよ。
日本はその文化的・歴史的背景に付け込めば良い。それは、中央アジアで欧州や中国と衝突するロシアや、海洋利権や安全保障で中国と睨み合うインドやASEAN諸国にはできない芸当だ。
利用できるものを、利用できる限り利用すれば良い。国益の確保のために。「侮られるほど弱からず,恐れられるほど強からず」な世界第3位の立ち位置であれば良い。地球教の復権ではなく、日本民族の利益のために。
それもこれも、全ては参加して、発言する権利を得てからの話だ。だから、AIIBに参加しようぜ。日本も。中国を利用し、いずれ見限る日のために。二階俊博のように媚を売って、生臭い利権ついでにパンダを下賜されるためにではなく。
(ブルームバーグ):中国の習近平国家主席は国内経済が減速する「ニューノーマル(新常態)」に入っていても、他のアジア諸国に貿易と投資の機会を提供する意向を表明した。
習主席は海南省で開かれたボアオ(博鰲)アジアフォーラムで演説し、400億ドル(約4兆8000億円)規模のシルクロード経済ベルト構想には60以上の国や国際機関が関心を寄せており、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設は円滑に進んでいると指摘。中国が最近打ち出した2つの主要なイニシアチブに言及した。
習国家主席はアジアでの協力拡大を約束し、大きな国は世界の問題により大きな責任を負う必要があると述べた。
同主席はまた「中国経済は成長率だけで捉えられるべきではない。新常態に入った中国経済は引き続きアジア諸国を含む各国に市場と成長、投資、協力の機会をさらに提供していく」と語った。
同主席の講演前には、中国財政省がAIIBの創設に英国やスイス、インドなど30のメンバーが加わったとの声明を出した。主要7カ国(G7)のうち、AIIB参加への態度を保留しているのは米国と日本のみ。
(3月28日 Bloomberg)
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