日本やヨルダンが人質解放交渉で身動き取れなくなっているのを尻目に、クルド自治政府の要衝にして油田都市として名高いキルクークを奪取しようと、ISISが昨年6月に続いて攻撃を仕掛けてきた。
撤退させられたとはいえ、主体的に事態を動かしたのはISIS。これに先立ち、リビアやエジプト、パキスタンではISISシンパが大規模なテロを決行した。現地の主導権は、いまだISISサイドにある。
だが、そのISISの暴挙を踏み台にして、イラク北部で誰よりも実利を得ているのは、ISISではなくクルド人。今回の撃退劇の件も含めて、旧来の自治区やキルクークを含めたイラク北部の実効支配の実績と、将来の独立への布石を着々と積み上げている。いずれ、トルコのクルド労働者党勢力と連帯して、現地にクルド人の独立国を立ち上げるだろうな。
今の対ISIS戦争での貢献度を考えれば、欧米をはじめとする国際社会もクルド人からの要求を無下にはできない。多少の金は出せていても、現地の実効支配力を失っているイラク政府には、「戦後」について口を出す資格は既に無い。そしてクルド人は、それらのことを十分理解した上で、血を流し続けている。
ここで、穿った見方をしてみる。「中東の新たな騒乱の火種になりかねない」クルド人の本音が分かっている欧米諸国は、どうやって、クルド人の行動を牽制しようとするだろうか。誰に牽制させるだろうか。誰に仕掛けさせるのが自然な演出だろうか。
戦争だな。まさしく。敵も味方もない。あるのは、利と害だけだ。
【カイロ=久保健一】イラク警察当局によると、イスラム国は30日、イラク北部の油田都市キルクークに侵攻し、クルド自治政府の治安部隊と激しい戦闘になった。
イスラム国側は中心部のホテルなどを一時占拠したが、治安部隊の反撃に遭い、撤退した。イスラム国は資金難に陥っているとの指摘があり、キルクーク周辺の油田を資金源にしようとした可能性がある。
キルクークがイスラム国の本格的な攻撃を受けたのは初めてとみられる。クルド自治政府当局者は簡易投稿サイト「ツイッター」で、イスラム国の戦闘員45人とクルド自治政府の兵士7人の計52人が死亡したと伝えた。
キルクークの住民のほとんどはクルド人で、昨年6月に中央政府に代わってクルド自治政府が実効支配を開始した。キルクーク周辺には日量計30万バレル(昨年6月現在)の生産が可能な油田があり、同11月から自治政府による正式な原油生産が始まっていた。
(1月31日 読売新聞)
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悩ましの腰つき。
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