昨年の総選挙で主要4政党が「四すくみ」状態となり、組閣ができなかったスペイン。改めて再選挙となったこの日程で、タイミングの悪いことに英国のEU離脱劇。カタルーニャとバスクという国内きっての爆弾庫をバックに持つポデモスが、欧州を覆うナショナリズムというニトロ注入で第二党に躍進という流れ。
ポデモスにとっては僥倖、ラホイ以下スペイン現政権のお歴々にとっては悪夢といったところか。弱体化している国民党(PP)が単独で少数与党政権を組めるわけもなく、社会労働党(PSOE)とシウダダノスの中道左派連合と組めるものなら既にやっている。かといって、今回躍進したポデモスと連立なんて組めるわけがない。
ギリシャの総選挙結果は欧州全体に「伝染」する件について(2015/1/16)
最初の伝染先は、ギリシャの急進左派連合(SYRIZA)の圧勝を受けて、金融市場が案の定の反応を示したイタリア、スペイン、ポルトガル。その中で一番先に発症するのは、秋に総選挙を控えているスペイン。ここも十中八九、勝利するのはSYRIZAのお友達・極左政党ポデモスだろう。
「伝染」するのは極左ばかりじゃない。同じく総選挙を控えるイギリスでは独立党(UKIP)が議席を伸ばす。フランスの国民戦線(FN)も順調に勢力を伸長中。
かくして、2015年の欧州は、今日のギリシャの選挙結果が伝染した右も左も極端な連中が一気に票を伸ばし、勢力を拡大することになる。極右ないし極左に大勝利された国の巷では、ポピュリズム政党の党首から俄か支持層に至るまで、皆が揃って拳を突き上げ、こう叫ぶことになるだろう。「悪いのはドイツ主導のEUだ!」。
1年半前のこの時よりも、そして今回よりも悪化した状況で、おそらく3回目の総選挙が実施されることになるであろうスペイン。先日の地方選で「五つ星運動」が躍進したイタリアと併せて、危険な香りがするねえ。
いや、そっちの香りじゃなくて。あ、でも、そっちの香りの方がいいです。
昨年末の総選挙後の連立交渉の不調で新政権がつくれなかったスペインで26日、やり直しの総選挙があった。「反緊縮財政」を掲げて欧州連合(EU)に異を唱える左派新党「ポデモス」が2大政党に割って入り、第2党になるとの見方が多い。大勢は26日深夜から27日未明(日本時間27日午前)にかけて判明する見通しで、英国の離脱に続くEUへの不満表明となる可能性がある。
ポデモス(私たちはできる、の意)はユーロ危機さなかの2011年、将来への不安を抱え、高い失業率に直面した若者らが、マドリード中心部の広場を占拠した運動「インディグナードス」(怒れる者たち)が起源。14年に欧州議会議員を出して党勢を広げ、「EUに押しつけられた政策で市民の暮らしがむしばまれた」として、緊縮政策の見直しを掲げている。
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「反EU」急進左派伸び悩む=英国民投票の反動か―協調派与党勝利・スペイン総選挙
「新興政党ポデモスは、前回獲得した69議席とほぼ同水準の71議席と伸び悩み、3位にとどまった。
ラホイ首相が率いる中道右派の与党・国民党は、EUとの協調路線を唱えて前回より14議席多い137議席を獲得、首位を維持した。
穏健左派の最大野党、社会労働党は85議席で2位に付け、中道の新興政党シウダダノスは32議席で4位となった」
中道左派が減らした議席が国民党に移っただけという、ちょっと意外な結果。EU崩壊への不安が有権者の現状維持志向を強めた形なのな。でもこの議席配分じゃ、また出直し選になりそうだなあ。