一度目は行方不明当日。大和君の行方不明になった経緯と服装について虚偽の報告をし、捜索隊を混乱させた。二度目は行方不明四日目。大和君が隠れていた鹿部町の演習場とは反対の駒ヶ岳の山道方面に向かうよう、捜索隊を誘導した。
「分かるか?お前たちの小賢しさがその子を殺したのだ」
こうならなかったのは、何故か現地の廠舎が施錠されていなかったという幸運と、その中でひたすら「飲んじゃ寝」を決め込んだ大和君の、普通じゃない強情さの結果でしかない。
3日午前7時50分ごろ、北海道鹿部町本別の陸上自衛隊駒ケ岳演習場の宿泊施設に男児がいるのを隊員が発見。道警が、北海道七飯(ななえ)町の山中で5月28日から行方不明になっていた北海道北斗市の小学2年、田野岡大和君(7)と確認した。行方不明から6日ぶりの発見で、目立ったけがはないという。道警によると、大和君は28日に歩いて演習場に着き、水だけ飲んでいたと話しているという。
大和君、マットで寝泊まり7日間 不明現場から約5キロ
道警や陸上自衛隊などによると大和君が見つかったのは、行方不明になった場所から北東約5キロにある駒ケ岳演習場の「廠舎(しょうしゃ)」と呼ばれる宿泊施設。敷地内で演習をしていた函館駐屯地の第28普通科連隊の隊員3人が雨を避けるため入ったところ、中で男の子が立っているのを見つけたという。
隊員の一人が「大和君?」と問いかけたところ、男の子が「うん」と小さな声で答えたことから、110番通報した。大和君は「1人で山の中を歩いてきた。土曜(28日)の夜からいました。雨宿りしていました」とも話したという。空腹を訴えたことから、隊員がおにぎり2個を渡したという。
大和君はドクターヘリで函館市の市立函館病院に運ばれた。診察の結果、両手足に擦り傷があったほか、軽度の脱水、低体温の状態が確認されたが、大きなけがはないという。両親が駆けつけ、大和君本人と確認した。病院によると、大和君は医師に「ほぼ1週間、水分だけしかとっていない」と説明したという。
陸自や道警によると、大和君が見つかった廠舎は演習場の入り口から直線距離で約200メートル入ったところにあるという。出入り口は施錠できるようになっているが、当時は開いていたらしい。大和君はここから中に入ったとみられる。
中にはマットレスがあり、大和君は夜はこれに挟まって寝ていたと話しているという。廠舎の外側には水が出る蛇口がついているという。
大和君の父、貴之さん(44)は3日正午前に市立函館病院前で会見し、「私の行きすぎた行動で息子に大変つらい思いをさせた。学校関係者や捜索にあたっていただいたみなさまにご迷惑をかけました。深くおわび申し上げます」と述べた。
大和君は5月28日、家族4人で鹿部町の公園を日帰りで訪問、同日午後5時ごろ、七飯町の山中で車から降ろされた。両親らは5~10分後に降ろした地点に戻ったが大和君がいなくなっており、道警に「山菜採りの最中に不明になった」として通報。その後、大和君が小石を人や車に投げたため、「しつけのため」として山中に置き去りにしたと説明を変えた。道警や消防などが連日捜索にあたっていた。
(6月3日 朝日新聞)
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