<フィギュア>女子のスケート靴、東京・町田の社長が手作り

 トリノ冬季五輪フィギュアスケート女子が日本時間の22日未明、いよいよ始まる。日本勢の不振が続く中、メダルへの期待もかかる。鮮やかなジャンプや流麗なステップを生み出すスケート靴は選手が最も気を使う用具だ。日本代表3人のうち2人の靴を手作りした東京都町田市の「鶴川製靴所」社長、吉田良雄さん(68)は「無事に滑り、(表彰台の)高い所に上がってもらえたら」。日本から祈るような思いで見守っている。

◇表彰台の高い所に上がってもらえたら

吉田さんが手がけたのは村主章枝(25)、安藤美姫(18)両選手の靴。牛革でも特に傷が少なくて柔らかい部分を使う。

村主選手が初めて吉田さんのもとを訪れたのは約5年前。足を採寸すると、24センチだが普通の人より幅が細かったため、プラスチックで専用の型を作った。以来、年間約4足を製作している。氷上での表現力を重視する村主選手らしく、さまざまな要望が来る。「前傾しやすいように」「体が反りやすいように」。足首の付け根の革に切れ込みを入れたり、かかとの上を深めにカットしたりと、1足作るたびに工夫を凝らした。

安藤選手は既製品用と同じ型で23センチ。ただ、約2年前にジャンプで着地した際、足の甲にブレード(刃)が刺さってけがをしたため、甲を覆う革を2重にしてあるのが特徴だ。昨年もジャンプの練習中に右足の小指を骨折した。革が4重になっている部分だったが、吉田さんは「それだけジャンプの力が強いということ」と感心する。

吉田さんは15歳で新潟県長岡市から上京。親類が経営する靴工場で修業し、33歳で独立した。ゴルフやサッカーなどの靴も手掛けるが、現在はスケート靴が仕事の8割を占める。7人の職人を使い、すべて手作業で作る。

「足に合ってくれるといいな」。新しい靴が完成すると、そう願って出荷する。荒川静香選手(24)はスイス製の靴を使っているというが、かつては吉田さんが注文を受けたこともある。

小さな町工場の職人たちの技術が、世界の舞台で演技する日本代表を支える。【五味香織】

スケート靴職人の朝は早い。(ry

(BGM:ヘッドライト・テールライト)

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