「HUGっと!プリキュア」第48話「なんでもできる!なんでもなれる!フレフレわたし!」感想 ~「世界の中心でエールを叫んだプリキュア」

本来、今回の最終決戦において、ジョージ・クライ@CV森田順平氏に完全勝利という選択肢はなかった。

何故なら、ジョージの眼前に立ちふさがっている人物は、キュアエールというプリキュアのリーダーにして、未来で自分が愛した野乃はな嬢@CV引坂理絵女史。しかし、キュアエールにクライアス社の首魁たる自分が勝てばキュアエールは生き続けても絶望に沈む。逆に今のはな嬢が自分に勝ってしまえば、未来のはな嬢は周囲の無理解の中に散る運命にある。




現在と未来を知るが故に、暗黒面の袋小路に迷い込んだジョージ。はな嬢との幸せな生活を永遠にしたいと「夢見ている」だけの「一人の男」ジョージ by パップルさん@CV大原さやか女史。そんな彼の矛盾に満ちた時間テロの動機、「孤独の中散った未来のはな嬢を守るため、今現在のはな嬢との戦いに勝つ」。そこに本来救いはない。最適解はない。少なくとも彼一人の中には存在しえない。故に彼は狂った。

今回重要なのはここから。出口のない悪夢に耽溺するジョージからの問いに対し、彼の孤独を察したはな嬢が選んだ答えは、キュアエールに導かれたプリキュア達の出した返答は、「赤ちゃん(≒未来)はみんなで育てるもの」「独りで未来は育めない」「みんなの思いが合わされば」「未来は変わる」だった。

はな嬢のような勇気ある女の子が蔑まれ、絶望の人身御供とならない未来とは、今自分たちが共にエールを送り合いみんなで育んでいる未来。未来は他の誰かではなく自分たち皆の力で変えることができる。それこそが本作が1年かけて出した最適解。

その答えの在り様を視覚的に表現したのが、サイコフレーム(違)の光の中、ニュータイプとして覚醒した、もとい総プリキュア化した人類のシーン。たとえそこに黄金聖闘士やロリキュアや百合キュアや老けキュアやBLキュアが混ざっていても、否、70億人の唯一無二のプリキュアが集合したと示したればこそ、「人は何でもできる、何でもなれる」というテーマに挑み続けたハグプリの最適解の表現手法として、これら一連の演出は相応しかったと私は考える。






全てが終わったあと、キュアエールは第23話の雨宿りのシーンでジョージから借りていた白いハンカチを返し、「一緒に未来を歩もう」と救いの手を差し伸べる。

自分は未来を信じないと拒絶するジョージを、「未来を信じていないならどうしていつも私には『またね』って言うの」と再び…ハグかい!JCがおっさんに「当ててるのよ♪」ハグかい!!うらやまけしからん!!…救おうとするキュアエール。ここでジョージ完墜ち。おそらくは、今回の奇跡を目の当たりにし、若かりしドクター・トラウムさん@CV土師孝也氏と共にいた、今の世界線の少年の自分と同じように感動の涙をこぼしながら。



良いシーンだったなあ。最近のプリキュアシリーズはこういう救済エンドが多いが、今回のは格別に良かった。

最終回は、新しい世界線に生まれた未来における、ジョージとはな嬢のロマンスの答え合わせかな。絶望堕ちする直前のジョージの目には、キュアエールではなく亡きはな嬢の面影しか映っていなかった。


最終回の舞台は、おそらく最終決戦から十数年後。医者の卵となった薬師寺さあや嬢@CV本泉莉奈女史と、急遽帰国した輝木ほまれ嬢@CV小倉唯女史らに見守られながら出産の時を迎えるはな嬢の姿が、誠実な一青年・ジョージの瞳に映っていることを信じたい。

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