「FUNAI」ブランドの液晶テレビなどを製造していた船井電機(大阪)が破産

一時期は天下の「FUNAI」だったが、晩年は畑違いのビジネスに手を出すなどグダグダだった老舗電機メーカー。盛者必衰の理をあらわす。合掌。

「FUNAI」ブランドの液晶テレビなどを製造していた船井電機(大阪)が破産(2024/10/24 帝国データバンク)

 船井電機(株)(TDB企業コード:056063491、資本金313億1260万7960円、大阪府大東市中垣内7-7-1、登記面代表上田智一氏)は、10月24日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人には片山英二弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、東京都千代田区丸の内1-9-2グラントウキョウサウスタワー13階、電話03-5860-3640)が選任されている。

 当社は、船井電機(株)<現商号:船井電機・ホールディングス(株)、TDB企業コード:580049891>から事業を承継することを目的として、2023年(令和5年)2月に設立された。

 前身企業である船井電機(株)<現商号:船井電機・ホールディングス(株)>は、1951年(昭和26年)創業の船井軽機工業(株)のトランジスタ部門を分離し、61年(昭和36年)8月に設立。

 トランジスタラジオの製造販売を皮切りに、ホームステレオなどの音響機器、テレビやビデオなどの映像機器、プリンターやインターネット情報端末などの情報通信機器へと事業の幅を広げ、OEMメーカーとして北米市場をはじめとする海外を主体に事業を展開。
 米国の大手ディスカウントストアを主力顧客とするほか、国内大手の家電量販店には「FUNAI」ブランドの液晶テレビなどを独占的に販売していた。

 99年2月に大証2部へ株式を上場し、翌年3月には東証1部ならびに大証1部にも上場。DVDレコーダーを中心とするデジタル関連機器の販売が伸長した2005年3月期は年売上高約3535億9200万円を計上した。

 しかし、リーマン・ショック以降は、北米市場での販売不振が続いたうえ、中国のテレビメーカーの台頭による値下げ競争に巻き込まれ、売り上げが減少。液晶パネル価格の高騰も重なって営業赤字が常態化していた。さらに、米国やメキシコの子会社で不適切会計が発覚するなどガバナンス面にも問題が生じていた。

 そうしたなか、2021年5月に(株)秀和システムホールディングス(2022年4月に吸収合併)による株式の公開買い付けが成立し、同年8月26日付で上場廃止。2023年3月には、別途100%出資により設立された当社が主要事業を承継していた。

 その後、親会社が脱毛サロンチェーン運営会社を買収していたが、1年足らずで撤退。2024年3月以降は当社も含めて役員の入れ替わりが相次ぎ、親会社では同年9月に代表者変更が生じるなど経営体制が混乱していた。

 さらに、10月に入り、脱毛サロンチェーン運営会社のネット広告代金の未払いについて、親会社が連帯保証を行っていたことを広告会社が明らかにしたことで、グループ全体に信用不安が拡大。立て直しの見通しが立たなくなり、今回の措置となった。

 負債は現在調査中だが、2024年3月期末時点で約461億5900万円。

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