「ドイツ連邦議会選挙、メルケル首相傷だらけの勝利」な件について

メルケルが率いる中道右派政党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)の得票率は比例代表で約33%と、前回の2013年選挙と比べて約8ポイント下げた。これは1949年以降、同党の得票率としては最低の水準だ。連立与党のパートナーで中道左派政党の社会民主党(SPD)も、同じく約20%と前回より5ポイント下げ、更にCDU/CSUとの連立解消を表明した。

 CDU/CSU、SPDに続く第三党には、右曲がりなダンディー過ぎる右派政党・ドイツのための選択肢(AfD)が入った。比例代表の得票率は約13%で、これは前回の得票率(4.7%)の約3倍に相当する。AfDの躍進は、皮肉にも、最近になって難民流入にブレーキをかけたCDU/CSUの方針転換、ドイツ全体として「移民流入阻止」の世論が力を持った結果でもある。しかし、当然ながらCDU/CSUはAfDとの連立を考えていない。

つまり、メルケル率いるCDU/CSUは第一党を維持し、メルケル自身の首相4選も確実だが、与党としての勢力は一気に減退したことになる。第二党、第三党のどちらとも連結できず、代わりに、SPDの前のパートナーで第四党の自由民主党(FDP)、環境政党で第五党の同盟90/緑の党(B90/Gr)と連立し、ギリギリ5割を超す程度の与党勢力で今後の国会運営を行わなくてはならなくなった。

奇しくも同日、フランスで行われた上院選で、選挙前に29議席を有していたマクロン大統領率いる共和国前進(LREM)は、予想(40-50議席)の半分の23議席しか獲得できず、事実上の敗北を喫した。

マクロン仏大統領に、当選時の勢いは既にない。メルケルの威勢にも陰りがはっきりと見えてきた。顧みて、今回躍進したAfDだけでなく、オランダの国政第二党にして極右の自由党(PVV)などの移民排斥勢力は、欧州全体でじわじわと力を取り戻しつつある。

「正念場、だな」

米国と北朝鮮のトップが幼稚園児の口喧嘩を続けている間に、欧州ではもっとリアルな危機が形を取り戻しつつある。欧州の安定にも責任があるはずの「世界のガキ大将」ドナルド・トランプの目に、9/24-25にかけて独仏で起こった事が正確に映っていることを願ってやまない。

右翼が初議席「我々への挑戦」 メルケル首相、続投確実

24日投開票のドイツ総選挙で首相続投を確実にしたメルケル首相は同日夜(日本時間25日未明)、自身が率いるキリスト教民主同盟(CDU)の党本部で勝利宣言した。「12年間、政権を担当したと言っても、再び第1党になることは当然ではない」として、姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)と合わせた「同盟」として再び第1党になったことを喜んだ。一方で前回選挙より同盟の得票率が下がったことを踏まえ、「もっとよい結果を望んでいたが、(過去4年間が)非常に難しい時期だったことを忘れてはならない」と述べた。

今回の総選挙で、反難民を掲げる新興右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が初めて議席を得る見通しになったことについて、メルケル氏は「我々にとっての大きな挑戦だ」と危機感を表明。「選挙結果を詳細に分析し、AfDから票を取り戻す」と述べた。また「強い欧州」をつくり、不法移民対策に取り組むとした。

CDUの党本部には報道陣や党員ら2千人以上が詰めかけ、開票速報を見守った。同盟が引き続き第1党になることが確実になると、若手党員から歓声が上がった。壇上に登場するメルケル氏には「アンジー(アンゲラ・メルケル氏の愛称)、アンジー」などと声援が飛んだ。メルケル氏は時折笑顔を交え、安堵(あんど)の表情を浮かべていた。(ベルリン=吉武祐)

(9月25日 朝日新聞)

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お、温故知新…?(混乱)

 

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