犯罪者殺害の奨励は、法治国家としての敗北じゃないのか? ~ ロドリゴ・ドゥテルテ次期大統領が犯罪者の裁判抜き処刑を奨励しているフィリピンで、犯罪者を射殺した警官に報奨金

 「この世に信奉すべきは剛力のみ、ただ独つ。俺達の流儀にして、唯一の戒律」か。これが通用しているロアナプラはタイの設定だと思っていたが、いつの間にかフィリピンに変更されていたようだ(違)。

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 それにしても、斬捨御免ならぬ殺害奨励ねえ。司法や治安制度の機能不全がよほど酷いのか。犯罪組織の力がお上に建前を投げ捨てさせるほど強いのか。はたまた、法治よりも人治を肯定するのがフィリピン人のキャラに合っているだけなのか。

 大衆が理論的な整合性よりも暴力的な即効性を社会に欲するようになると、社会は遠からず混乱に陥る。秩序を理性的に維持する努力を放棄するからだ。為政者が政治の洗練よりも大衆への迎合を優先すると、大衆は衆愚の極みに陥る。政治が大衆を育てる義務を放棄するからだ。国が政策の精査よりも権力の乱用を優先するようになると、国民は一時の快哉の後、為政者に牙を剥く。自分たちがいずれ為政者の生贄になることに気付くからだ。

 普通の法治国家なら、上記のような地獄へ到達する前に、どこかでブレーキがかかる。しかし、フィリピンはそうならなかった。

 ブレーキをかけさせなかったのは、「暴力的な即効性のアピール」「大衆への迎合」「権力の乱用」を揃って体現しようとし、そんな自分を批判するかも知れないジャーナリストの排除を公言している次期大統領、ロドリゴ・ドゥテルテ。こんな危険人物を「強力な指導者の素質あり」として自分たちの代表に選んじゃうとか、フィリピンの皆さんってば、つくづく怖いモノ知らずだな。

犯罪者殺害に初の報奨金、警官に計35万円 フィリピン

 【6月4日 AFP】次期大統領のロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)氏が犯罪者を殺害した警察官に報奨金を与えることを推奨しているフィリピンで、麻薬密売人を殺害した警察官たちに計15万5000ペソ(約35万円)の報奨金が支払われる事例がすでに発生したという。

 先月行われた選挙で当選した中部セブ(Cebu)市のトーマス・オスメニャ(Tomas Osmena)次期市長は2日夜、麻薬密売人とされる男3人を殺害した警察官に計15万5000ペソを授与したと発表した。オスメニャ氏は交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)の自身のページに3人の死を喜ぶコメントを投稿した。3人のうちの1人はセブの大物麻薬密売の1人であるローウェン・セクレタリア(Rowen Secretaria)容疑者だという。オスメニャ氏はAFPの取材要請には応じず、以前のインタビューでは報奨金の出どころについて明らかにすることを拒んでいた。

 フィリピンでは先月の選挙で、犯罪撲滅のためとして犯罪者の殺害を掲げるドゥテルテ氏が圧勝。一方、オスメニャ氏も同様の報奨金を支払う意向を明らかにした。

 選挙で勝利した全候補同様、両氏がそれぞれ大統領、セブ市長に就任するのは今月30日。だが、ドゥテルテ氏は今週に入り、治安部隊に対して「犯罪との戦い」を直ちに始めるように要求。5月31日には、麻薬密売組織の幹部を殺害した警察官には300万ペソ(約700万円)、幹部以下の組織構成員の殺害にはそれよりも少額の報奨金を払うとも述べていた。(c)AFP

(6月4日 AFP-BB)

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