<ブルドック>米スティールが全株を売却 買収騒動収束へ

ブルドックソース、株主総会で買収防衛策導入を決定

ブルドックの防衛策発動、頼もしく感じる市場展開=山本担当相

スティール、ブルドックへのTOB失敗を発表

外資系ファンドや金融機関によるM&Aが全体的に縮小している中、スティール・パートナーズも撤退。外資系ファンド嫌いの神楽ですが、この一件に関してだけは、スティール社側の肩を持ちます。というか、ブルドック経営陣に対する嫌悪感を隠せません。

「企業価値毀損への理解不足でも影響力を持つ株主総会至上主義」最高裁判決と「企業価値毀損の経営責任があるにもかかわらず、株主総会を抱き込み、あまつさえ抱き込んだ株主に損失を負わせる防衛策を採った」経営陣の思惑が融合した結果、「外部からのM&Aにさらされた経営陣は、経営責任の是非とは関係なく印象操作を軸とする株主総会戦略だけで保身可能。それも実質的な痛みは株主に押し付けて」という悪しき前例が出来てしまいました。株主平等原則への違反云々以前に、これでは問題経営陣への株主による外部チェックや影響力行使は望みようがありません。まあ、本当に経営参画したい企業はともかく、個人株主や機関投資家にとってはそんな企業なんぞ早々に見捨ててしまえば、済む話ではありますが(^^;。

今、英国の投資ファンド:TCIによるJパワー株買い増しが騒動になっていますが、これについても、買い増し中止勧告を出した経産省や財務省の判断には非常に違和感があります。国のエネルギー政策というデリケートな問題が絡んでいる本件ですが、それ故に「エネルギー政策」と「市場政策」については、明確に問題点を切り分けて、外部に理解を求める必要があるでしょう。この点についての渡辺喜美金融担当相の発言、「(買い増しをしたのが)国内ファンドだったら(中止勧告について)どういう理屈が付くのか」は、実に良いポイントを突いていると思います。

ブルドック騒動とJパワー騒動は問題の中身としては全くの別物ですが、「ある問題への対応策がまた別の問題を芽生えさせる契機となっている」という点で趣を同じくします。ブルドック騒動では悪しき根が社内に残ったままになっているという「惨状」が続いておりますが、Jパワーではどうなるか。今後の事態の推移に注目です。

 米系投資ファンドのスティール・パートナーズが保有していたブルドックソース株のすべてを今年3月末までに売却していたことが、18日分かった。ブルドックソースは、3月末時点の株主名簿にスティールが入ってないことを確認した。ブルドック株の敵対的TOB(株式の公開買い付け)をめぐり、スティールは「乱用的買収者」との司法判断を受け、戦略の転換を迫られていた。今回の売却で、一連の買収騒動は収束に向かう。

ブルドック株の売却時期は不明だが、スティールが金融庁に提出した大量保有報告書によると、昨年11月末時点の保有比率は4.4%だった。

スティールは昨年5月から同8月まで敵対的TOBを実施。これに対し、ブルドックは買収防衛策で応戦した。TOB開始前の保有比率は10.15%だったが、買収防衛策の発動で3%台にまで低下。TOBに応じた株主も1.89%にとどまり、買収計画は頓挫した。

スティールは、直近まで4.02%を保有していたキッコーマン株も3月末までにすべて売却したとみられる。【田畑悦郎、野原大輔】

(4月18日 毎日新聞)

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