【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会は15日午後(日本時間16日午前)、北朝鮮のミサイル発射を非難し、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の中止とミサイル発射凍結の再確認、核開発放棄などを求める決議案を全会一致で採択した。
日本主導の安保理決議案が採択されたのは初めて。国際社会が結束して北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を迫る意思表示となった。
同決議1695は強制力を伴う国連憲章7章に基づくものではないが、安保理決議自体が各国に順守を義務付ける法的拘束力を持つ。
決議は、北朝鮮の7月5日の「テポドン2号」など弾道ミサイルの発射を非難し、再発射の兆候があることに「重大な懸念」を表明。核開発を公言している北朝鮮の今回のミサイル発射が「地域と周辺の平和、安定、安全を危うくするものである」と確認した。
(読売新聞) – 7月16日
妥協の産物なれど、議長声明ではなく安保理決議にまで持っていけたのは成功と言っていいのではないでしょうか。で、これに対しての北朝鮮の反応。
<北朝鮮>安保理決議「いささかも拘束されない」と声明
【北京・西岡省二】国連安保理が対北朝鮮決議を採択したことを受け、北朝鮮外務省は16日、声明を発表し、今回の決議を「米国の対北朝鮮敵視政策の産物」と位置づけ「いささかも拘束されないだろう」と表明した。その上で「自衛的な戦争抑止力をあらゆる面において強化していく」と主張し、ミサイル再発射の可能性を示唆した。
声明は、安保理での論議に対して「いかなる国際法にも抵触しない我々のミサイル発射を反則と規定して国連に持ち込んだこと自体、全く不当で強盗のような行為だ」と非難した。
また、今月9日のインドによる長距離弾道ミサイル発射実験を引き合いに出し「米国の承認さえ受ければ、ミサイルを撃っても核実験をしても見逃され、国連に上程されないのが現実だ」と不満をあらわにした。
そのうえで、核問題をめぐる6カ国協議に触れ「朝鮮半島非核化を対話と協議を通じて平和的に実現しようという我々の真心と誠意ある努力をもてあそんだ米国が、いまになって、我々が6者会談(6カ国協議)に出れば懲罰せず、出なければ懲罰するというのは、どう考えても正当化できない破廉恥な詭弁(きべん)だ」と批判した。
(毎日新聞) – 7月16日
これに対する米国のコメント。
<米国連大使>北朝鮮の拒否は「世界記録」とジョーク
【ニューヨーク坂東賢治】ボルトン米国連大使は15日、北朝鮮の朴吉淵(パクキルヨン)国連大使が非難決議受け入れ拒否を表明した直後、特に発言を求め、「今日は歴史的な日だ。安保理が全会一致で決議を採択したのに加え、北朝鮮が決議採択後45分で拒否するという世界記録を打ちたてた」と述べ、緊張した議場内が笑いに包まれた。
朴大使は北朝鮮の独特の言い回しで、ミサイル発射を通常の軍事演習であり、主権国家の正当な権利と正当化し、決議採択については「安保理を悪用」し、北朝鮮を「孤立化させようとする数カ国の企て」と批判した。
北朝鮮にミサイルや核計画廃棄を求める国際社会の一致したメッセージを送り、6カ国協議への復帰を求めることを狙った決議が実現した直後だけに、議場の参加者の多くは独自の論理の展開にうんざりした表情。大島賢三国連大使も協議後、「聞いていて悲しくなった」ともらした。
(毎日新聞) – 7月16日
両者の余裕の差がアリアリですなあ>米朝。ていうか、ボルトンのネオコンヒゲオヤジのことを少し見直した。こういう場面でジョークを飛ばせるのは一流外交官の証拠だ。大島大使はまだ修行が足りませんね(笑)。
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