MBA取得 第2の人生は実業家

 現役引退を表明したMF中田英寿(29)が米ハーバード大に入学して経営学修士(MBA)を取得する計画を持っていることが、明らかになった。03年7月からは東ハトの執行役員に就任するなど現役時代もピッチ外で多角的な才能を見せており、引退は大きな可能性を秘めた新たな人生のスタートとなる。

電撃的に引退を表明した中田だが、第2の人生のプランをしっかりと温めていた。今後の動向について、関係者は「1カ月くらい欧州を旅することになる。引退したら、世界中を旅したいという夢を持っていた」と明かした。11年間のプロ生活の疲れを癒やすため、海外でリフレッシュ。その後は米ハーバード大でMBAの取得を目指すという。

MBAはビジネス界のエリート学位。取得には英語能力と最新ビジネススキルが必要で経営管理職への“パスポート”として定着している。中田は03年7月に経営難に陥っていた東ハトの執行役員に就任。最高ブランド責任者としてお菓子の企画開発に携わるなど、現役時代から企業経営に興味を寄せていた。

平塚に入団した95年には将来、会計士になることを公言。昨秋には投資目的で米ニューヨークにビルを購入した。今季から「mocなでしこリーグ」となったサッカー女子リーグに、冠スポンサーの株式会社モックを紹介するなど経営のセンスも高い。マネジメント契約を結ぶサニーサイドアップの次原悦子社長は「中田はビジネスのことを考えるのが、気分転換になっている。こんなことまで考えているのだと驚くことがある」と語る。

企業経営だけでなくファッションに対する関心も強い。服装やバッグにはグッチ、ルイ・ヴィトンなどの有名ブランドに加えて流行の最先端を取り入れており、帰国する際のファッションは常に話題を呼ぶ。また、インターネットにも早くから着目。自身のホームページでコメントや情報を発信するスタイルを確立し、現在では当たり前になっているスポーツ選手の公式サイトやブログの先駆けにもなった。

ピッチ外の多角的な才能には目を見張るものがあり、現役引退は新たな挑戦のスタート。自身のサイトによる引退表明は、実に中田らしいスタイルだった。潔くスパイクを脱いだのも、第2の人生を見据えた決断である可能性が高い。日本サッカーのパイオニアが、どのような道を歩むのか。今後も目が離せない。

(スポーツニッポン) – 7月4日

今回のヒデのサッカー人生からの引退と実業家への転身の可能性について、巷では総じて好意的に受け入れられているようです。で、神楽も基本的には好意的に受け入れてあげたい…のですが、今回の引退コメントとこれまでの彼の立ち振舞いを見ていると、彼の今後特に事業家への転身に関しては、少しばかり不安になります。

彼は稀有な才能を持ったプレーヤーというだけでなく、純粋に頭の回転も速い優秀な人材です。一個人の裁量内で事を進める、あるいは彼のブランドで事が決するレベルの仕事をさせたら、多分そこらのベンチャー経営者よりもいいパフォーマンスを挙げるでしょう。

しかし、同時にこれまでの彼の言動を見ていると、彼には組織や人材を自分のペースや戦略に乗せて動かす、「組織運営・管理者」としての適正が欠けているように思われます。対人的な柔軟性に欠けると言ってもいい。彼の一見孤高に見えて、その実「ヤマアラシのジレンマ」な傾向の強い(or学習が足りない)あのキャラクターは、事業家を目指している人間にとってかなりのマイナス要素です。

メディアとの長年の軋轢の中で醸成された「フィルター」越しに見た見解なので、少々公平では無いかもしれません。その上で敢えて申し上げますが、彼が本気でビジネスの世界で生きたいと考えているなら、組織運営者・経営者としてではなく、あくまでも個人単位での「一匹狼」なオブザーバーやネゴシエーター的な役回りに徹した方がいい。多分、彼にはそれが一番いい。

ちなみに、MBAスクールは勉強をしに行くところではなく、人脈を作り人格を鍛えに行くところ。ヒデには、代表時代を通して最後まで下手だった「異なる価値観を持つ人間との上手な距離感の取り方」を、(本決まりになったという前提でですが)ハーバード大での雑多な価値観との付き合いの中で鍛えて欲しいですね。

 

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