<訃報>フリードマン氏94歳=米経済学者

 【ワシントン木村旬】世界的なベストセラー「選択の自由」で徹底した市場主義を唱え、「小さな政府」の理論的支柱となったノーベル賞受賞者の米経済学者、ミルトン・フリードマン氏が16日、米サンフランシスコの自宅で心不全のため死去した。94歳。

1946~76年にシカゴ大教授を務めた。市場原理に信頼を置き、財政政策より通貨供給などの金融政策を重視するマネタリスト(シカゴ学派)の重鎮。貨幣史や消費分析での業績が認められ、76年にノーベル経済学賞を受賞した。

「選択の自由」(80年)は、個人の自由な経済活動が経済発展の原動力になると強調。第二次世界大戦後に先進国の主流となった福祉国家政策や積極的な財政出動を唱えるケインズ主義を批判し、財政支出削減や規制緩和による「小さな政府」を通じた経済活性化の必要性を強調した。

70年代の石油危機で先進国にスタグフレーション(不況とインフレの同時進行)が広がり、ケインズ主義が行き詰まる中で脚光を浴び、米レーガン政権や英サッチャー政権が推進した「小さな政府」を理論的にバックアップした。レーガン政権の経済政策顧問も務めた。教育バウチャー(自由に学校を選べる利用券)の提唱者でもあった。

(毎日新聞) – 11月17日

先日のガルブレイスに続いて、学生時代に影響を受けた「知の巨人」逝く。As Time Goes By.20世紀は遠くになりにけり。

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