バイオ燃料は万能じゃない=スイスの研究所がブームに警鐘

 トータルの環境負荷で見ると、実は従来のシステムの方がエコってのは太陽電池も同じ。むしろ、こういう「シフト」がごり押し的に進むときには、それによって恩恵を被る連中(≒穀物メジャー、シリコン関連業界)の存在と、彼らの本音にこそ留意すべき。

 【ジュネーブ4日時事】「バイオ燃料は必ずしも環境に優しいわけではない」-。スイスの連邦材料試験研究所(EMPA)の研究チームは5月下旬に公表した報告書で、地球環境問題への対応で期待が高まっているバイオ燃料の安易な利用促進にこう警鐘を鳴らした。

 研究チームは、バイオエタノールやバイオディーゼルなどの燃料に関して、原材料となる植物向け農地の開発、原材料から燃料の精製に至る工程などを生態学の見地から検証した。

 報告書は、ガソリンやディーゼル燃料と比べバイオ燃料は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を3分の1以上削減することができるものの、「農地の開発やトウモロコシ、大豆といった原材料の加工過程は、環境に深刻な影響をもたらす」と分析。農地への過度な肥料の使用や土壌の酸化、農地開拓のための熱帯雨林の伐採を通じた生物多様性の喪失などの影響を考慮すると、「生物学的に優しい燃料とは言えない」との見解を示した。 

(6月4日 時事通信)

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