大幅な方針転換は有権者にとって分かりやすいが、健康なやり方とは言えない。保守党の復活には時間かかりそうだなあ。
英保守党が新党首にベーデノック氏選出 ナイジェリア系黒人女性、党再生へ右派路線に転換(2024/11/2 産経新聞)
【ロンドン=黒瀬悦成】7月の英総選挙で野党に転落した保守党の次期党首選決選投票の結果が2日発表され、ベーデノック前ビジネス貿易相がジェンリック元移民担当閣外相を破り、新党首に選ばれた。ベーデノック氏は右派の政治家として知られ、保守党は伝統的な穏健保守路線を脱却し、移民や社会政策などでより強硬な主張を展開していくことは必至だ。
党首選は、総選挙での大敗により当時のスナク前首相が党首辞任を表明したのを受けて実施された。
当初は6人が名乗りを上げていたが、9月と10月に実施された下院議員による投票でクレバリー元外相ら中道派候補が相次ぎ脱落。残った2人から党員が選ぶオンライン形式の決選投票が10月31日まで行われた。
保守系ニュースサイト「コンサバティブ・ホーム」が保守党員を対象にした調査(10月25日発表)では、ベーデノック氏の支持率は51%で、31%のジェンリック氏を引き離していた。
ベーデノック氏はナイジェリア系移民を両親に持つ黒人女性。政敵への戦闘的な言辞で知られる一方で党内の融和を重視し、早くから首相候補に目されてきた。
同氏は人種的少数派や性的少数者の権利拡大などを過剰に要求する左派勢力が英国の伝統的価値を脅かしているとして、左派に対する「文化戦争」を唱えている。
対するジェンリック氏は、かつては英国の欧州連合(EU)離脱に反対した中道派だったが、数年前から強硬な移民排斥の立場を打ち出して右派に転向。党首選でも移民問題をほぼ唯一の争点に掲げて、党内右派へのアピールを図った。
保守党の右派路線への転換は、同党の移民対策や社会政策を「手ぬるい」と見なした同党支持者の一部が7月の総選挙で、大衆迎合政治家のナイジェル・ファラージ氏率いる右派政党「改革党」に投票したことが直接の契機だ。
党内では、より強硬な移民対策などを打ち出すことで改革党から支持層を奪い返すべきだとの主張が強まり、今回の党首選の結果につながった。
ただ、労働党は7月の総選挙で左派路線を捨てて中道に回帰したことで14年ぶりの政権奪還を果たしている。保守党を急激に右傾斜させれば、これまで党を支えてきた穏健派の支持者の離反につながりかねず、将来の政権奪還にはマイナスに働くと懸念する声も少なくない。
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