(今となっては懐かしい)ベアリングス銀行事件のニック・リーソンも、大和銀行ニューヨーク支店事件の井口俊英も、所詮は「隙間からの横入り&叩き上げ&成り上がり」ディーラー。有能ではあっても保身より法令順守を優先する行儀の良さなんて二の次な人物で、「高転びに転んだ」のはある意味想定の範囲内でした。驕れるハイエナは久しからず。
一方、今回のジェローム・ケルビエル@ソシエテ・ジェネラル銀行は、どういった人物なんでしょ?。額の違いこそあれ、中身的には前者2名と大きな差は無さそうな気がしますが…。とりあえず次の報道を待ちたいと思います。
そういや最近の大手の証券会社って、エリートさんが増えてきた一方で、彼らのような株屋は減りましたなあ。その手の山師が、怪しいファンドマネージャーや灰色な個人トレーダーに堕ちていっただけかも(^^;。逮捕後憑き物が落ちたように「いい人」になったニック・リーソンのように、状況が人を作ってしまっていたってこともあるから、一概には言えませんけどね。
- 作者: 井口俊英
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/05
- メディア: 文庫
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もっとも井口俊英に関して言えば、本書を読む限り、ディーラーとしての適性云々以前に人として問題ありすぎなことは明白。当時の大和銀行上層部はタダのヘタレで、米国金融界はまんま悪党だけど、彼は性根が捻じ曲がった上に凝り固まってる自己中の権化。その文才共々救いようがない。
【ダボス(スイス東部)=中村宏之】フランスの大手銀行、ソシエテ・ジェネラルは24日、男性トレーダーによる不正取引によって、約49億ユーロ(約7600億円)の損失を計上したと発表した。
個人による不正としては、英金融大手のベアリングス社がトレーダーの投機失敗で倒産に追い込まれた1995年の事件などを上回り、史上最高額のスキャンダルになるとみられる。
同行によると、不正行為を行ったのはパリに勤務する30代の男性トレーダー。2007年から08年初めにかけて、権限を大幅に超える金額の株式先物取引を行い、損失を出した。トレーダーは、複雑な架空取引などで損失を隠していたという。不正行為は1月19~20日の調査で発覚し、トレーダーは解雇された。
同行は併せて、サブプライム問題で金融市場が混乱した影響で、07年10~12月期に20億5000万ユーロ(約3200億円)の損失を計上したことも発表した。07年の通期では6~8億ユーロの純利益を確保できるとしているが、不正取引による大規模な損失などを踏まえ、資本増強のために55億ユーロ(約8530億円)の増資を行う。
トレーダーや銀行員による巨額損失事件としては、ベアリング社のトレーダーがシンガポールでの先物取引の失敗で約1600億円の損を生じさせたケースのほか、95年秋に発覚した旧大和銀行ニューヨーク支店での米国債への投資失敗による約1100億円の損失、96年の住友商事の銅の不正取引事件での約2800億円の損失などがある。
今回はこうした額を上回っており、不正行為の防止対策がまたもや機能しなかった形だ。
(1月25日 読売新聞)
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