草薙女史の自滅

 神楽は草薙厚子女史のこれまでの活動についてよく知りません。wikiなどでさらりと見る限り、それなりに無節操な経験と、それなりに恣意的なブリンカーがかかった視野と、それなりに偏ったポリシーと、それなりに電波なトラブルを起こしてor巻き込まれている人だな…というのが正直な感想ですね。まあ、フリーの「トンデモ」ジャーナリストとしてはフツーじゃないっすか?(笑)。

 そのフツーのトンデモジャーナリストが、フツーじゃない騒動の中心人物になっております。問題になっているのは、5月に発刊された草薙女史のこの著書。

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実

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 「著書内に調書の丸写し部分がある→供述調書の中身が精神鑑定医師経由で草薙女史に漏洩してるんじゃないか?→秘密漏示容疑で強制捜査」ということらしいですが、神楽からするとちょっとこの流れに違和感があるんですよね。何故かって言うと「調書の流出ネタのベースの記事や本なんて珍しくない」から。何で草薙女史のケースだけここまで大騒ぎになっているんだ?と思って、ペラリと中身を流し読みしましたところ、思い当たる節がありました。

 

 曰く「供述調書の中身というよりその基本コンセプトまで丸ごと晒したのが致命傷」。参考資料から自分の主義主張に都合のいい部分だけを引用してモノを書くのは良くあることです。しかし、仮に引用先の著作物の主義主張が非難の対象になり、そのトバッチリが参考資料の作成側にも来かねないとなれば、参考にされた側の関係者(この場合法務省)としては、良くあることと見逃すわけにはいかないでしょう。

 今回のケースで法務省側がトバッチリを受けるor非難される可能性があるのは、草薙女史が自身の主張の叩き台としている調書のコンセプト特に「客観性」について。文章を読む限り、調書って作成者(捜査官)の主観による「作文」なのですな。特に被告少年の内面描写部とか。これって中立的第三者からチェックされたら、相当やばい評価喰らう内容かも…。中身の妥当性以前に文章としても「内部関係者間でナァナァに使用する分ならば何とかレベル」の出来だし。これが無修正でストレートに表に出ちゃたら、そりゃ法務省も焦りますわ。

 これまでに供述調書等の内部資料を拝借してモノを書いてきた人間は、そこらへんのリスクを表現の修正なり輪郭のぼやかしなりで回避してきたんでしょうが、今回の草薙女史は、そういったリスクを迂闊にも(?)スルーし、原文そのまま主張の叩き台にしちゃった。これが秘密漏洩云々以前に法務省側の逆鱗に触れたのだろうと推測します。要は調子に乗りすぎてor成功の果実ばかりに目が行って、安易にタブーに触れちゃったと。「リバウンド王」ホリエモンや「欽ちゃんMk-II」村上氏がパージされたのと同じ構図ですね。

 今回の件で関係者がどこまでお灸を据えられて、どこまで軌道修正するかは分かりません。もっとも、草薙女史に限ると、ただのチョンボと言うより、ジャーナリストとして一番大事な「情報の本質への客観的検証」「リスクを嗅ぎ取る嗅覚と逃げ道の確保」スキルが欠けているが故の自滅なので、また同じことやらかすでしょう。フリーな故に先鋭化しないといけない辛さとかもあるんだろうけど、このままだとこの人、ジャーナリスト業界からリアルにアンインストールされかねないですね。♪今の彼女には理解できない♪かもしれないけど。

アンインストール

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奈良放火殺人の本出版、調書引用で著者らを強制捜査へ

 奈良県田原本(たわらもと)町の医師(48)方で昨年6月、妻子3人が焼死した放火殺人事件で、殺人などの非行事実で中等少年院送致になった長男(17)の供述調書を引用した単行本が出版されたことについて、非公開の供述調書の内容が精神鑑定を担当した医師を通じて漏えいした可能性が高いとして、奈良地検は近く、刑法の秘密漏示容疑で強制捜査に着手する方針を固めた。

 長男とその父親が、著者と鑑定医を告訴していた。少年の健全育成をうたう少年法と、憲法で定める言論や出版の自由を巡り、捜査の行方が注目される。

 この本は、法務省東京少年鑑別所の元法務教官で、フリージャーナリストの草薙(くさなぎ)厚子さんが執筆した「僕はパパを殺すことに決めた」。今年5月、講談社(東京)から出版された。

(9月14日 読売新聞)

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