チベット問題が国際的な注目を集める中、チベット自治区や新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区と同じ問題を抱えているはずの台湾が、記事中にもある通り、良くも悪くも現実的な答えを出しました。国際社会からタコ殴りの中、台湾問題まで炎上させるわけにはいかない中国「本国」からの介入も相応にあったのでしょうが、逆に言えば、陳水扁&民進党に対する不信感は民族独立意識云々程度では揺るがない位、深刻なものだということでしょうか。
それにしても、「敗勢」民進党が国内ナショナリズムを総統選で自陣へ有利に影響させるために打った博打(と神楽は考えています):「台湾としての国連加盟の是非を問う」住民投票は、余計に過ぎました。なまじ政争と関連付けられたため、国民党のみならず他の一般層からも住民投票の「真意」が疑われ、投票は低迷&不成立。結果として、中国をはじめとする国際社会に「台湾の国民は独自の国連加盟(≒独立)を望んでいない」という言質を与えてしまったわけですから。
実際は、馬英九新総統も国民党も、民進党その他に負けず劣らず中国からの独立志向は高いです。今回は経済的事情と選挙戦略から国連問題を中心テーマに据えることなく、総裁選を戦って勝利しましたが、民進党がそれを据えた上で総裁選もろとも自爆したため、「台湾において国連加盟推進派敗北」という結果になってしまったのは、両者にとって痛恨と言うべきでしょう。この結果をもたらした責任問題だけでも、民進党は罰を受けるべきだと神楽は考えます。
【台北=長谷川周人】台湾の総統選が22日行われ、即日開票の結果、最大野党・中国国民党の馬英九前党主席(57)が圧勝した。8年ぶりの政権奪還を実現した国民党の連戦名誉主席は、午後7時(日本時間同8時)すぎに台北市内で事実上の勝利宣言を行った。
「台湾人政権」の存続を訴えた与党・民主進歩党の謝長廷元行政院長=首相=(61)との票差は200万票以上も開いた。一方、総統選と同時に実施された国連加盟を問う住民投票は、投票総数が過半数に達せず不成立となった。中央選挙委員会の発表では、開票率99.32%の段階で得票数は馬氏が約759万票(得票率58.46%)、謝氏は約539万票(同41.54%)。投票率は前回2004年総統選の80.28%を下回り、約72.19%前後となった。副総統には馬氏とペアを組んだ蕭万長元行政院長(69)が選ばれた。
今回の総統選は、中台両岸関係や経済振興策が主な争点となったが、両候補の主張に大きな差異はなく、国民党が絶対多数を得た今年1月の立法委員(国会議員)選に続いて、民進党政権に対する信任投票という色彩が濃かった。事前の世論調査では支持率で馬氏が謝氏を大きくリードした。馬氏は巨大市場を抱える中国経済との融和で不況感の漂う経済の活性化を提唱、対中依存度を高める経済界の期待を取り込む一方、陳水扁政権の腐敗や経済失政に対する民衆の不満を吸収することで、優位に選挙戦を展開した。新総統の就任式は5月20日に行われる。
(3月22日 産経新聞)
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