週末OAZOにてJAXAの人とお話。米国の宇宙ベンチャービジネスについて少し意見交換しました。
その意見交換の中身ですが、大まかに言って以下の2点
- 1.「国家や組織、大企業の顔色伺ってる貧乏人や、Space Fearを恐れている人間に宇宙ベンチャーは向かない!」
- 2.「政府は技術競争力や産業基盤の維持や法制度の整備だけやっとればいい。良いものを安く(≒コスト云々)なんてのは民間の仕事だから手を出すな]
に落ち着きました。
1.は従来から言われている至極当たり前のことのようにも見えますが、この主張の肝は、こと宇宙事業において国家プロジェクトに付随するほど「不確実」で「最先端では無い」という点です。基本的に官主導の先端プロジェクト全般において採算性や企業の都合は二の次。故に彼らは、自分達の都合で一方的にプロジェクトの中身をイジクリまわすことが多いです。宇宙事業に限らず。
それと比べて「Space X」や「Rokectplane」のような金持ちの道楽や宇宙ヲタの手作り事業は、基本スタンスが「資金集めも含めて自分達がやりたいようにやってんだから文句言うな!」。なので、ビジネス展開を自らハンドリングするのが大前提。当然、リスクは全て自分持ちと承知の上なので失敗を恐れず、ともすれば官のプロジェクトより先に実行に移す。要は官のロードマップから逸脱できる行動力を持った人間・企業でないと、宇宙「ベンチャー」ビジネスなんてやってらんないというわけです。
ちなみに日本ではホリエモンがそれっぽいことをやろうとしてましたが、あれはロシアや米国の同業者へのコバンザメでしたので、独自のビジネスかと言うとちょっと違いますね。国民性の問題もあるんでしょうが、今のところ日本にそのような宇宙ベンチャー企業は無いです。金持ち連中にも、せいぜい「お客」としてしか宇宙事業に金を使うことができないスケールの人間しかいないしなあ…。
2.については、NASAの方針転換で面白い話を聞きました。スペースシャトルは2010年に運用停止が決まっていますが、その次の宇宙への輸送システムCEV/CLVの運用開始は2012-2014年になります。最短でも2年間発生するブランクをどう埋めるかで、NASAは従来の「自前設計主義」を放棄して、民間にコストパフォーマンスで優れる郵送システム(COTS)の開発を任せることになるそうです。これはNASAが衛星・探査系に研究資源を集中して、ある程度技術が確立された輸送系は民間に任せることを明確にしたという点で、画期的な動きと言えましょう。
これらの米国宇宙ベンチャービジネス動向には、未だ立ち上がらない(立ち上がらないままかもしれませんが(^^;)日本の宇宙ベンチャービジネスにとっても、色々な視座に富んでいます。まずは上記のような意識改革から…というわけで道は遠いですが、方向性自体は決まっていると言っていいでしょう。JAXAの拡大というより日本版DARPAの設立など、着実かつ前向きな歩みを期待したいものです。
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