医師2人のうち一人は、「高齢者は見るからにゾンビ」などとネットに仮名で投稿し、高齢者への医療は社会資源の無駄、寝たきり高齢者はどこかに棄てるべきと優生思想的な主張を繰り返し、安楽死法制化にたびたび言及していた
《SNSで接点》100万円で京都ALS患者殺害 容疑者40代医師はペンネームで「高齢者を『枯らす』技術」執筆 Twitterに《オレはドクターキリコになりたい》(2020/7/23 文春オンライン)
大久保容疑者の電子書籍「扱いに困った高齢者を『枯らす』技術」
大久保容疑者は、自身が経営するクリニックのブログで、自身の治療方針についてこう語っている。
《私は、治療を頑張りたいという方はサポートしますし、「もうそろそろ、いいかな」という方には、撤退戦をサポートする そんな医者でありたいと思っています》(ブログ投稿より)
また、大久保容疑者はペンネームを用いて電子書籍やマンガ原作も執筆している。そのひとつが「扱いに困った高齢者を『枯らす』技術 ー誰も教えなかった、病院での枯らし方ー」という電子書籍。共犯の山本容疑者は実名で共著者として名前を連ねている。
《認知症で家族を長年泣かせてきた老人、ギャンブルで借金を重ねて妻や子供を不幸に陥れた老人。そんな「今すぐ死んでほしい」といわれる老人を、証拠を残さず、共犯者もいらず、スコップや大掛かりな設備もなしに消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ。
病室に普通にあるものを使えば、急変とか病気の自然経過に見せかけて患者を死なせることができてしまう。違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、臨場した検視官ですら犯罪かどうかを見抜けないこともある。荼毘に付されれば完全犯罪だ。》(同書の説明文)
「高齢者は見るからにゾンビ」発言者が、大久保容疑者だろうが相方の山本直樹容疑者だろうが、大久保容疑者の犯行の背景に、ドクター・キリコへの憧憬があろうがなかろうが、結論は変わらんけどな。
「貴方たち、人の命を救うのが仕事の『表のプロ』なんでしょ?」
「自分の主義や趣味で人の命を弄ぶのは、表のプロの仕事じゃなく、腐った外道の所業よ」
法と社会は、この二人の外道の犯行と、安楽死・尊厳死問題とは切り離して論じろ。事件の争点がぼやける。
逮捕された医師は元厚労省官僚 「高齢者は社会の負担」優生思想 京都ALS安楽死事件
全身の筋肉が動かなくなっていく神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市中京区の女性に薬物を投与して殺害したとして、京都府警が、嘱託殺人の疑いで、呼吸器内科医の大久保愉一容疑者(42)=仙台市=と、医師の山本直樹容疑者(43)=東京都=を逮捕した事件で、大久保容疑者は、厚生労働省の元医系技官として約7年半働いていたことが、関係者らへの取材で23日分かった。
また、医師2人のうち一人は、「高齢者は見るからにゾンビ」などとネットに仮名で投稿し、高齢者への医療は社会資源の無駄、寝たきり高齢者はどこかに棄てるべきと優生思想的な主張を繰り返し、安楽死法制化にたびたび言及していた。
捜査関係者によると、大久保、山本両容疑者は殺害された林優里さん=当時(51)=の担当医ではなく、会員制交流サイト(SNS)を介して知り合い、直接の面識はなかったとみられる。
捜査関係者の説明では、大久保、山本両容疑者は林さんから依頼を受け、昨年11月30日夕に同市内の自宅マンションを訪れ、室内で薬物を女性の体内に投与し、死亡させた疑いが持たれている。
両容疑者とみられる不審な男2人がマンションを訪れた後、林さんの容体が急変し、病院に搬送されて死亡が確認された。林さんの体内からは普段服用していない薬物が検出された。京都府警が捜査を始め、防犯カメラの映像などから2人を特定したという。
関係者によると、林さんは2011年ごろにALSを発症。死亡した当時声を出したり手足を動かすことができない状態だったが、意識は清明で、メールをやりとりすることは可能だった。障害福祉サービス「重度訪問介護」を利用して1日24時間、ヘルパーから生活全般のケアを受けながら1人で暮らしていた。(2020/7/23 京都新聞)
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