既存株主への手切れ金割り増しでのTOB、半分成功半分不発。次の第二ラウンドは上場廃止を巡っての「61.08+α vs 38.92-α」攻防戦。今回の第一ラウンド以上のドロドロ劇になりそうな悪寒。
トップが至らぬためのこの有様、現場の泣くに泣かれぬ辛さは察するに余りあり。セガサミーのなぶり者にされるサンリオの現場よりはマシかもしれないけど。
米大手金融のシティグループは27日、国内大手大証券の日興コーディアルグループに対するTOB(株式公開買い付け)が過半数を取得する条件に達し成立したと発表した。発行済み株式の56・15%に当たる5億4119万株超の応募があった。シティはすべてを買い取りすでに保有している約5%と合わせ、日興への出資比率を61・08%に引き上げ子会社化する。
同日会見したシティバンク在日支店のダグラス・ピーターソンCEO(最高経営責任者)は「日本屈指の金融グループを作る」と意気込みを語った。一方、日興コーディアルグループの桑島正治社長も「日興の持つ国内ネットワークに根ざしたブランド力と、シティの世界最大級の国際ネットワークの融合で存在感を高められる」と語り、シティの傘下入りの意義を強調した。
シティはTOBに応じなった株主からの株式取得を目指し、日興の完全子会社化を検討していく考えだ。
TOBによる取得総額は約9200億円に上り、外資による日本企業の買収としては1999年の米GEキャピタルによる日本リースの買収(約8700億円)を上回り過去最大。日興の利益水増しは、外資が国内3大証券の一角を傘下に収めるという日本では過去に例のない大型金融再編へと発展した。
シティは日興の顧客基盤や支店網を活用、個人向けビジネスに本格参入し日本市場攻略を目指す。1500兆円に上る日本の個人金融資産をめぐる国内の大手証券や3メガバンクとの争奪戦が激化するのは必至だ。
日興は昨年12月に不正な会計処理による利益の水増しが発覚。信用回復のため、3月6日にシティと包括的な資本・業務提携で合意。1株1700円にで15日からTOBを開始した。
TOBでは、みずほコーポレート銀行やトヨタ自動車の国内主要株主は応じたが、水増し問題発覚で急落した日興株を買い集めた外資系投資ファンドはTOB価格に不満を示しており、全株の売却には応じなかったとみられる。
(4月28日 フジサンケイ ビジネスアイ)
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