まずは、見事胴体着陸を成功させ、一人も怪我人を出さなかった機長&副操縦士殿に拍手(なんか「ファントム無頼」の伊達&高田ペアみたいだなー)。
しかし、彼らの快挙(?)を褒め称えるのと同様に否それ以上に留意せねばならないのは、ボンバルディアDHC8―Q400型機の「危なっかしさ」の検証。同社以外に同程度の大きさ・スペックのレシプロ機を製造しているメーカーがいない以上、この検証なくして、今回の伊丹-高知と同様の路線を安全に運用することはできないからです。そしてもし欠陥が決定的となれば…ずばり、YS-11の後継機開発に着手でしょう!(笑)。
まあ、とりあえずアレですけどね。事態の本質から目をそらせたいのか知らんけど、「機長に国民栄誉賞を」とかお花畑なことを口走っている方は黙っててくれと。
- 作者: 史村翔,新谷かおる
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1997/01/01
- メディア: 文庫
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13日午前8時10分に大阪(伊丹)空港を離陸し、高知空港(愛称・高知龍馬空港)に向かった全日空1603便(乗客56人、乗員4人、ボンバルディアDHC8―Q400型)が、同空港上空で車輪がある前脚を出せなくなった。同機は空港上空で数十回にわたり旋回し、車輪が出ないまま、二つある後輪だけで同10時54分に胴体着陸した。着陸の際に機体前方から少し火花も見えたが、火災や爆発などは起きなかった。けが人はなかった。消防車や救急車が数十台待機した。同機の前脚は、油圧装置で出し入れする仕組みで、故障の際には手動でも出せるようになっていた。しかし、今回は手動でも出なかったといい、国土交通省などが油圧系統の故障の可能性を含め調べる。
同機を巡ってはこれまでにも、計器異常や車輪が出ないなどのトラブルが相次ぎ、国土交通省が昨年4月、同機を製造したボンバルディア社とカナダ政府に設計上の改善をするよう要求していた。
同機はエアーセントラルが委託を受け運航。午前8時過ぎ、大阪空港を飛び立ち、同55分に高知空港に降りる予定で、操縦は今里仁機長(36)と、岸野安芳副操縦士(34)。今里機長は飛行時間は7978時間で、05年からボンバルディア機の機長を務めているという。
国交省航空局によると、午前8時49分ごろ、今里機長から高知空港側に「ギア(車輪)トラブルがあった。燃料は残り3100ポンドある」と連絡。同9時17分ごろ、機長が地上職員に双眼鏡で機体を見てもらい、前脚が出ていないことを確認した。機長は空港近くの高度約1万メートルで待機すると連絡したうえで「手動で前脚を下ろしてみる」と話した。
しかし前脚が出ないため、機長は同10時10分ごろ、「(滑走路にいったん後輪を接地させ、すぐに高度を上げる)タッチ・アンド・ゴーの衝撃で前脚が出る可能性があるのでやってみる」と連絡。挑戦したが前脚は出なかった。
同空港上空で着陸を試みたが、着陸できず上空での旋回を繰り返した。空港の海上側から、やや機体が左右に揺れながら滑走路に着陸、数百メートルにわたり機首部分が滑走路の路面にこすれた。着陸後、消防車が放水などをした。
このトラブルで高知空港は当面、閉鎖される見通し。各地の空港からの高知空港への便は運航を取りやめるとみられる。
全日空広報によると、トラブルを起こしたDHC8―Q400は03年11月に運用開始、現在13機が運航している。トラブルがあった機体は、05年7月から使用している。総飛行時間は2966時間52分(10日現在)で着陸回数は4197回。
同機種はトラブルが多く、全日空は昨年2月24日、プロジェクトチームを作り26項目を点検、5月4日まで点検作業を行った。さらに2回目は、別の26項目を作り、7月末に点検が完了したばかりだった。
◇ことば ボンバルディアDHC8―Q400 カナダのボンバルディア社製のプロペラ機。ジェットエンジンを使ってプロペラを回す「ターボプロップ機」。全長32.8メートル、全幅28.4メートル、高さ8.3メートル。座席数74席。巡航速度は時速650キロ。低騒音とジェット機に匹敵するスピードが特徴とされる。全日空は03年11月に運用開始。現在13機が運航している。
(3月13日 毎日新聞)
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