必然

 「勝つべくして勝つ」という格言があり、「敗因の無い敗北は無い」という警句があります。今回のトリノオリンピック、スノーボード男女ハーフパイプは、それらの好例と呼ぶべきでしょう。スノーボードはたしなむ程度でそれほど造形の深くない神楽ですが、男女双方の結果を観て以下のように感じました。

 勝つべくして勝ったのは米国。単にW杯より賞金大会重視のガチガチのプロが多いというだけでなく、減点主義の採点方式に合わせて、まず基礎をがっちり極めてきてました。とにかくライディングが綺麗。自然、エアの高さも出るし、一方でランディングは(例外もありましたが)教科書どおりにバーンに沿ってとてもソフトリィ♪(特に女子)。その上で連続2.5-3回転×3~4+標準技×2~3、横回転角4000度台を軽くたたき出すという、堅実さと大胆さの絶妙な融合。まさに勝ち方を知っているプロの戦いぶりでした。

 一方、負けるべくして負けたのは日本。分析不足と思い込みで米国の実力を見誤っていたのはとりあえずおきましょう(煽りまくったメディアの責任は言わずもがな)。が、欧米の選手と比べて連続技と角度で劣る分を高さのある大技でヘッジしようという意図が傍からも見て取れる中、当然のごとくランディングの精度を高めなければならないのに、中島を除いて(一部選手はライディングの段階から)ほぼ全員が安定性に欠けていたのは何故? 挙句、切り札となる大技がベースの精度の低さゆえに全て一か八かの博打演技。そして確率論そのままに失敗を連発、自滅するまさに悪循環。さいころの目次第では勝ちの目もあった選択肢なのかもしれませんが、オリンピックの魔物はそんなに甘くない。

 個々の技量差は別として、結局、日本代表は何が悪かったのでしょう。大技にこだわるあまり基礎をおろそかにした?それかもしれません。若い選手が多いゆえの精神的未熟?そうかもしれません。ただ、一部報道によると、競技の性格そのままに個人主義が優先され代表チームはバラバラ(一部選手へはイジメ行為すらあったとも)、加えて指導者は実質不在(特にメンタル面での)という状態だそうです。今更言っても詮無いことではありますが、もし大会前に、採るべき攻め手について適切な課題をチームに設定でき、それを解消できる指導を(メンタル面も含めて)行える人間がいれば、少しは違った結果になったかのかも…。

 所詮健全な肉体に健全な魂「宿れかし」ですので、選手たち(特に某兄妹)に特段、聖人君子ぶりを期待したりはしません。しかし、将来上記のような指導を行える勝利の女神の使者と出会えたら、競技者として最低限の謙虚な態度をとって欲しいと思います。4年後と言うより明日からのために。

 もっとも、オリンピックの魔物の悪意という点では、スノーボード代表はまだ恵まれたほうかもしれませんね。なんせスピードスケート男子500mの加藤…1回目の前走者のアクシデントといい、エッジの損傷といい本当についてなかったです。チークの走りが神がかっていたので正直アクシデントが無くても金メダルは難しかったかもしれませんが…ほんと残念。

 で、こういう時にとんでもないことをやらかす男・原田が復活の予感。ラージヒルでは大どんでん返しを是非!(笑)

スノーボード指導教本

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