S&Pジャパンに業務改善命令 ~ 本家ならともかく、日本の分家に細かい信用分析能力を期待する方がどだい無理な話

 S&Pの連中とは、彼らが勝手格付けを始めた大昔に少し仕事をしたきりだけど、キャッシュフロー比率など定量的な分析だけならともかく、定性的なリスク情報etcを細かく分析する体制には程遠いなあ…と感じたことを覚えています。人数的にも、能力的にも。日系格付け機関より、米系の方が付ける格付けが2ノッチばかし厳しめになるのは常識だけど、当時は「単に自分たちの分析能力に自信が無い分、厳しめに格付け付けてるだけとちゃうのん?」と思ったモノです。

 もっとも、今回金融庁からツッコミ入れられたミスは、能力云々以前のチョンボですけどね。そのチョンボを自動的にチェックできないシステムもショボイ。7年前のみずほ証券のジェイコム事件や4年前のクレディスイスのABS評価ミス騒動の時も感じたけど、金融機関のシステムって、いまだに人為的な錯誤を自動的にヘッジできるようには作られてないのな。

S&Pジャパンに業務改善命令、格付けの管理体制に不備=金融庁

 [東京 14日 ロイター] 金融庁は14日、信用格付け大手のスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン(S&P)による信用格付け付与の業務管理体制の整備が不十分で金融商品取引法に違反したとして、再発防止策の確実な実施・定着などを求める業務改善命令を出したと発表した。

 証券取引等監視委員会が同日、行政処分の勧告をしたことを踏まえた措置。

 先進国の格付け会社に対し、本業での行政処分が出るのは初めて。

 金融庁による処分では、再発防止策を確実に実施・定着させることや、実施状況・実効性の検証結果を定期的に報告することを命じた。初回報告を1月18日とし、それ以降、四半期末経過後15日以内に報告させる。

 監視委の検査では、S&Pが付与した信用格付けについて検証や更新を適切・継続的に実施するための業務管理体制の整備が不十分だと認定した。

 同社は、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を束ねて組成したシンセティックCDO(SCDO)を構成する参照債務のクレジットイベントの発生状況の確認や、累積損失額の把握を適切にしていなかった。このため、長期間にわたり誤った信用格付けを付与し続けていた。また、システムへの金額の誤入力によって格下げをしなかったこともわかったが、その後も対策を講じなかった。

 一方、付与した格付けの公表プロセスを適切に規定しておらず、社内で決定された格付と異なる格付が公表された事例も確認された。

 短期格付けを付与していないA社の格付けとしてA社の関連会社の短期格付けを公表したほか、ストラクチャード・ファイナンスに関連した格付けで旧格付け欄に誤った格付けを記載、英語版の資料でのみ誤った格付けを公表した。

(12月14日 ロイター)

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