第46回衆院選の結果を検証してみた件について

 ご案内の通り、昨日投開票が実施された第46回衆院選は、自民党の圧勝に終わりました。自民シンパの自分としては満足な結果ですが、一方でその背景に想いを至らせると、強い「モヤッと感」があります。そのモヤッと感が何に起因しているのかを述べる前に、実際の投開票の前日に予想していた各政党の議席獲得数と結果を照らし合わせてみたいと思います。

第46回衆院選、各党獲得議席数を予想してみました(12/15時点) ~ 自民284、民主78、公明29、維新52、未来11、みんな14、共産8、社民1、大地1、国新その他2(2012/12/15)

  • 北海道ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民9-10、民主2±1、公明0-1

 比例区:自民3-4、民主2-3、公明1、大地1

(12/16結果)

 小選挙区:自民11、公明1

 比例区:自民3、民主2、公明1、維新1、大地1

 自分で予想しておいてなんですが、まさか民主が全滅とはね。比例は、議席確保には一歩及ばないと見ていた維新が1議席確保。今回、「比例で維新が予想よりも1議席上乗せ」するケースが複数。

  • 東北ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民18-19、民主4、未来1-2、維新1

 比例区:自民6、民主3、公明1、未来1、維新2、共産1

(12/16結果)

 小選挙区:自民19、民主4、未来1、無所属1

 比例区:自民5、民主3、公明1、未来1、維新2、共産1、みんな1

 山形3区の加藤@自民の落選以外は、おおよそ予想通り。みんなの比例1議席獲得は、上記の維新と同じく、「予想よりも得票が半伸びしてのGET」。今回はこのケースもいくつか確認。

  • 北関東ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民25、民主4、みんな1、無所属2

 比例区:自民7-8、民主3-4、公明2-3、維新3-4、未来1、みんな1-2、共産1

(12/16結果)

 小選挙区:自民27、民主2、みんな1、無所属2

 比例区:自民6、民主3、公明3、維新4、未来1、みんな2、共産1

 全体的な傾向は読み通りでしたが、小選挙区での民主の弱さと、比例での維新とみんなの微妙な強さに注目。

  • 南関東ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民28±2、民主3±2、みんな2-3、維新0-1、未来0-1

 比例区:自民7-8、民主4、公明2、みんな2、維新3-4、未来1-2、共産1

(12/16結果)

 小選挙区:自民26、民主4、みんな2、無所属1

 比例区:自民6、民主4、公明2、みんな3、維新5、未来1、共産1

 小選挙区は山梨3区を除いて、ほぼ予想通り。このブロックも、比例での維新とみんなの微妙な強さに注目。

  • 東京ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民18-19、民主4-5、公明1、みんな1

 比例区:自民6、民主3、公明2-3、維新2、みんな1-2、未来1、共産1

(12/16結果)

 小選挙区:自民21、民主2、公明1、みんな1

 比例区:自民5、民主3、公明2、維新3、みんな2、未来1、共産1

 ここも結局、「小選挙区の自民」「比例の維新・みんな」。

  • 北陸信越ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民17-18、民主2-3

 比例区:自民6-7、民主2、公明1、維新1、共産0-1

(12/16結果)

 小選挙区:自民18、民主2

 比例区:自民4、民主2、公明1、維新3、みんな1

 ここも。比例でここまで、維新とみんなが獲るとは予想外。

  • 東海ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民18±2、民主13±1、未来2±1

 比例区:自民7-8、民主6-7、公明2、未来2-3、維新2-3、共産1

(12/16結果)

 小選挙区:自民27、民主6

 比例区:自民7、民主4、公明2、未来1、維新4、共産1、みんな2

 今回の予想、四十七の都道府県で唯一、「前提条件から読み違えた」のが愛知。先入観ですね。まさか、民主王国中の王国である愛知で、民主が2勝13敗とは。そしてここでも、予想以上に比例で議席を獲る維新とみんな。

  • 近畿ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民15±2、民主5±2、公明6±1、維新19±2、みんな2±1

 比例区:自民7-8、民主4、公明3、維新9-10、未来2、みんな1、共産2-3、社民0-1

(12/16結果)

 小選挙区:自民24、民主6、公明6、維新12

 比例区:自民7、民主3、公明4、維新10、未来1、みんな2、共産2

 ここで思わず笑ってしまったのが、維新の予想以上の小選挙区での弱さ。そして予想通りの比例での強さ。この「地方政党」の正体とは一体何なのか。

  • 中国ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民15-16、民主2、維新1-2、未来1

 比例区:自民6、民主2、公明1、維新1-2、未来0-1

(12/16結果)

 小選挙区:自民18、維新1、未来1

 比例区:自民5、民主2、公明2、維新2

 ここは自公の連携が小選挙区・比例ともに発揮。

  • 四国ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民12-13、民主0-1

 比例区:自民3、民主1、公明1、維新1

(12/16結果)

 小選挙区:自民12、民主1

 比例区:自民2、民主1、公明1、維新2

 ここの比例「維新2議席」は、愛媛の維新勢力から考えれば、ありうる事態とは思っていましたが…それにしても、不気味だ。

  • 九州ブロック:

(12/15時点予想)

 小選挙区:自民33±1、民主2-3、維新1-2、社民1

 比例区:自民8、民主3-4、公明4、維新3、未来0-1、みんな0-1、共産1、社民0-1

(12/16結果)

 小選挙区:自民35、維新1、社民1、国新1

 比例区:自民7、民主3、公明3、維新4、未来1、みんな1、共産1、社民1

 自民は大勝した。しかし、微妙に維新にしてやられた感がぬぐえない。

 そして、結果は以下の通りとなりました。

政党名 12/10予想 12/15予想 12/16結果
自民党(注) 269 284 295
民主党 86 78 57
公明党 28 29 31
日本維新の会 49 52 54
日本未来の党 18 11 9
みんなの党 15 14 18
共産党 9 8 8
社民党 3 1 2
新党大地 1 1 1
国民新党 0 0 1
新党日本 0 0 0
新党改革 0 0 0
無所属(注) 2 2 4

(注)福岡6区の無所属は自民党にカウント

 今回、総選挙の趨勢を分析するにあたり、私は3つの点について大きく読み違えていました。

 1つ目は、投票率の低さ。第43回衆院選を下回る59.32%という数字に愕然。3年前の祭りに過剰な期待をし、裏切られた感で投票を安直に放棄したB層が多かったのか、「自公大勝」という事前情報に接し「どうせ死票になるんだから」と投票に行かなかった「政治を勝ち負けでしか考えられない近視眼な」アンチ自公や左巻きが一定数いたのか、雪国の悪天候で動けず投票がままならない人がいたのか、それとも「寒いのに外出なんかしたくない」という阿呆共が家から出なかったせいなのか。まだ私には分かりません。しかし、日本を取り巻く環境が厳しさを増す中、政治に対して意志表示をする機会を放棄した有権者が4割もいたという事実には、背筋が寒くなります。

 2つ目は、民主や維新(ついでに未来)の小選挙区における予想以上の弱さ。維新はともかく、民主や未来はまがりなりにも与党前職が大半だろうに、何なんだこの弱さは。いや、内部分裂で組織力が弱まっているのは分かる。しかし、それにしても弱過ぎる。逆風だけでここまで惨敗はしない。政権を獲って3年余。今回落選した多くは、国政・中央で目立った活動をしていたわけではない。では彼らは、その間、地元で何をしてきたんだ?。民主にいた頃の小沢一郎は、3年前に当選した陣傘ペーペー議員に、地元との関係強化を口を酸っぱくして説いていたが、それを実行していた議員は、果たしてどれだけいたのか?。私は、候補の「個」の資質が問われる小選挙区での民主や未来、そして大阪以外の維新勢の惨敗に、選良としての彼らの資質を「最大限引き下げて観ていたがそれでも過大評価していた」ことを、実感しました。そして、この体たらくは、決して民主や未来の連中だけの通弊ではないだろうと、哀しく想像してしまうのです。

 3つ目は、「第2民主党は未来ではなく維新だった」ことへの認識不足。今回の総選挙、自民の得票率は前回と比較して上がっているわけではありません。投票率が下がった影響は別として、民主から流れた票は、主に維新に流れ込んでいます。ちなみに維新に次いで、票が流れ込んだ先はみんなです。

 ここで敢えて言いましょう。みんなはまだいい。今回、同党が予想以上の躍進を果たしたのは望外の成果でした。一方の維新。ここにまともな人材は太陽の党系以外ほとんどいません。当選者にも落選者にも。小選挙区にも比例にも。党内の主義主張はまさにごった煮で、民主以上の矛盾の塊です。しかし、それでも維新は民主に替わる浮動票の受け皿になった。なってしまった。有権者の一部は、3年前の失敗から学ぶどころか、あの時以上に安直かつ愚劣な選択をしてしまったとしか言いようがありません。

 今回は、小選挙区での非力さから、維新の獲得議席数は54にとどまりましたが、この後は分かりません。私は、橋下徹という人間を全く信用していません。選挙戦中は自公政権を非難しながら、選挙が終わった途端に石原代表の同意も得ないまま安倍総理擁立に協力すると言い出す節操無さ、選挙後のマスコミのインタビューに対し、都合が悪い質問には罵詈雑言を以って煙に巻く品の無さ。そんな人物が率いる「3年前の民主党もどき」な集団が、比例では自民に続く第2党になった。この寒気がする流れを読み切れなかったことに、私は大きく反省しています。52議席の予想に対して54議席の結果だったという、2議席の差以上に大きい「維新の実態」への理解不足を痛感しています。

 今回の総選挙、自公は確かに326議席を獲りました(福岡6区含む)。しかし、これは古くからの地盤・組織力を有する自民党が小選挙区で圧勝しただけのことであって、広範な世論の支持集めという点で完全勝利したとは言えません。その意味で、これからの自民の本当の敵ないし脅威は、民主ではなく維新。少なくとも来年夏の参院選までは全てが流動的であると、安倍「総理」以下、自公執行部には認識し、気を引き締め続けて欲しいものです。

 ここで「【アニメ風】Alice in Musicland 【MMD-PV】」を紹介。


D

ミュージカルすなあ。

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