「魔法少女まどか☆マギカ」第9話「そんなの、あたしが許さない」感想 ~ 「THE MADORIX」

 キュウべえ@CV加藤英美里女史が宇宙人(orその有機端末の1つetc)だったり、第二次性徴期の少女の「希望-絶望」の感情エネルギーを相転移云々して宇宙のエントロピーが云々だったりと、物語が半端なSFモードに入った観これあり。ストーリーは進んだが、一方でレベル的には一気に「予測不能な怪作」から「普通によくできた佳作」になった今回の「魔法少女まどか★マギカ」。いや、それでも一娯楽作としては十分によく出来ているけどね。

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 佐倉杏子嬢@野中藍女史、美樹さやか嬢@CV喜多村英梨女史が転生した魔女「剣をふるい甲冑を纏うピンクリボンな人魚姫(破壊と拒絶と可愛い女の子への変身願望@第1話参照と自己犠牲か…)」と共に散る。かつて自分が目指し挫折したのと同様の人生を歩み、そして自滅していった後輩の青の子を救おうと、敢えてQBの誘いに乗った赤い子の行動、「本当に助けられないのかどうか、それを確かめられるまで諦めたくない」という決意を誰が嗤うことができようか。そして、本当にさやか嬢を助けられないと悟った瞬間、杏子嬢が選んだ「さやか嬢と共に滅びる」という判断を誰が非難することができようか。同じ「愛と正義」を出発点にして魔法少女になった青い子と赤い子でしたが、より本質的なところで献身的な聖女の資格を持っていたのは、間違いなく赤い子の方でしたな。バトルのラスト、転落する杏子嬢が神に祈りを捧げ、ジェムを融合させた父の形見のアミュレットを爆発させるまでのシーンは、お約束ほど過ぎるほどお約束だったけど、涙腺に来ました。

 今回散った二人、魔法少女として出会わなければ、さぞやいい喧嘩百合カップルになれただろうなと改めて妄想。さやか嬢は魔女になって以降も上条君@吉田聖子女史への妄執に縛られていたけど、バトルの最中に赤い子との記憶を感情のシルエットの中に思い出し、一緒に散る際は赤い子だけを見つめていましたもんね。赤い子も、ソウルジェムの濁りも気にせず、青い子の「抜け殻」の維持に自身の魔力を注ぎ込んでいたし、最後は「ひとりぼっちは…寂しいもんな」ときたもんだ。作品世界的には、このまま二人は復活しない方が綺麗ですが、それでもちょっとした奇跡を、ラスト3話の鹿目まどか嬢@CV悠木碧女史や暁美ほむら嬢@CV斎藤千和女史の頑張りに期待したくもあり。贅沢ですかね>自分。

 一方、ストーリー全体についてですが、QBが宇宙のうんたらかんたらを語り出したところで、急に興醒め。あー、そりゃ感情レスな宇宙人の君達からすれば、人類なんてただの電池だからね。善悪の価値観云々以前に、彼女らのアイデンティティなんてどーでもいいことだろうさ。効率性!効率性!言ってればいいんだもん。

 だけどさ、視聴者が欲しかった答えってこれなのかな?。QBやその上位者(≒宇宙人)が魔法少女に対して一見悪魔的/外道な行動を採るのは、彼らにとって人類は宇宙のエネルギー不足を解消する構成要素に過ぎないからってのは、理屈としては間違っていない。いや、従前から言っているようにこれまでのQBの主張は論理的に見てどこも間違っていない。しかし、それが人類いや「人間」にとって違和感なり嫌悪感を抱くロジックなのは何故なのか。そして、その答えは「QB=宇宙人」→「人間の価値観を忖度しない独特な存在」→「彼らのロジックに違和感を感じて当然」という安直なものでいいのか。

 シャフト&虚淵玄氏が本作で「一般的な魔法少女のアイデンティティ、これまでの魔法少女アニメのセオリーに対するアンチテーゼ」を語りたいのであれば、QBはあくまでもまどか嬢やほむほむと同じ「魔法少女を含む人類社会」の住人で、かつ彼女らに対する価値観の対極軸に立ち、それでも説得力のあるロジックを開陳し続ける存在であるべきじゃなかったのか?。その意味で「QB=人類より絶対上位にある宇宙人」という設定は、多分に蛇足あるいは安直な逃げ道だったと思うのですよ。

 まあ、QBが相も変わらず「本当のこと」を言っていないだけな可能性も否定できませんけどね。ラストのほむほむとの会話時でも、ワルプルギスの夜にまどか嬢を引きずり出すため、あんこタンを退場させたと平気で言い放つような、いつも通りの「理屈屋というより手段を選ばないだけの外道」だったし。Aパートのまどか嬢に対して「この宇宙のために死んでくれる気になったら、いつでも声をかけて。待ってるからね♪」とクールな言葉を投げかけるQBもたいがいだけど、よりQBらしいのはBパートラストのこっち、「詰将棋で魔法少女を地獄送りにしたことを平然と誇る彼」の方だよなあ。だからQB、君は「合理的な宇宙人」ではなく、もっともっと君らしく「真っ白な悪魔」を続けてくれ。そして然る後に景気良く死ね。

 最後にまどか嬢。かつて巴マミ嬢に導かれ、ほむほむに守られ続け、さやか嬢に現実を突き付けられ、そして今回杏子嬢に進むべき道を示された彼女は、悲しくも恵まれた存在と言える。ある意味これだけ恵まれた環境にある主人公も珍しいぞ、と。ホント、残り3話で彼女はどんな「変身」を遂げるんだろう。

魔法少女まどか☆マギカ B2タペストリー

魔法少女まどか☆マギカ B2タペストリー

 Aパートのほむほむ。さやか嬢の抜け殻を「余計な荷物」と言い放つところと言い、線路上での体捌きと言い、まんまガハラさん@化物語でした。いいわあその表面S属性&隠れM属性。

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