「背伸びる」、根拠なし=公取委、整体施設に排除命令-3センチで300万円

 ドラえもんが短足なのは、もともと普通の長さだったのに、足を伸ばそうと矯正機にかけたところ、機械が壊れたためその反動で却って短くなってしまったからだそうです。きっと、今回だまされた方々は、子供の頃に「ドラえもん」を読んで、「身長や足って簡単に伸びるんだー」と信じてしまった層なのでしょう。そんな不幸な彼らのバイブルとなった漫画を発行した小学館に、謝罪と賠償を(以下飽きたので省略)。

 さて、この事件自体ですが、時々突っ込ませていただいている疑似科学詐欺の一つですね。とりあえず、「頭の骨を調整して顔を小さくする」って、何ていう王者の技@大魔法峠?(笑)。

 ちなみに、背が異常に伸びたりする巨人症も、大半が脳下垂体から成長ホルモンが異常分泌されるために起こるもので、正常な成長の中で成長ホルモンが体内に行き渡った結果ではありません。内臓や筋肉の成長とは別にガタイだけが大きくなってしまうという、つまりは病気。渦中の整体施設の「足延長術」とやらが全くの嘘っぱちならばともかく(それはそれで問題ですが)、万一そういう異常分泌を人工的に引き起こそうという手合いのものだったらと思うと、ゾッとします。

 何故なら、未成年という骨の発育中の脳下垂体巨人症であれば、背丈の異常成長くらいで終るかもしれませんが、成人の場合、背が伸びないばかりか、ただの先端巨大症になって色々な合併症を引き起こしかねないからです。今回は公取委による景品表示法違反という突っ込みで終ってますが、個人的には、そういう医学的なリスクと責任についても検証して欲しいと思いますね。…まあ、実際のところ、「そこまでする必要すら無い」インチキ施術だったのでしょうけど。

 新聞の折り込みチラシで、「成長ホルモンの分泌を高め、骨を伸ばす」と表示したのは景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、公正取引委員会は22日、整体施設経営「コジマ身長伸ばしセンター」(東京都中央区、旧ケイピーシー)に表示をやめるよう排除命令を出した。

 公取委によると、同社は昨年2月から5月までの間、関東と近畿地方でチラシ約214万枚を配布。身長を伸ばすとする「足延長術」について、「全身を回転させ、遠心力で成長ホルモンの分泌を高めて骨を伸ばす」「3センチアップ」などと記載した。また、頭の骨を調整して顔を小さくするとも表示していた。 

(2月22日 時事通信)

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